川口西が新人戦準Vの南浦和との死闘を制し初のベスト4へ 歴史を作る大会、頂点まであと2勝/学総県大会準々決勝
県学校総合体育大会準々決勝(26日)。南浦和中と川口西中の大一番は互いに譲らず2-2のままPK戦の末に川口西が勝利し、準決勝進出を決めた。川口西にとっては学総では初のベスト4進出となった。
今大会屈指の好カードと言っていいだろう。新人戦準Vの南浦和とU13時代から実績を残してきた川口西の一戦は序盤から両チームが攻撃を打ち合うテンションの高いゲーム展開となった。
川口西・横田純一監督は「相手が最初から圧力をかけてくることはある程度想定していた。あのような形のゲーム展開はやっていないんですけど、この夏場で、南浦和のホームに近いような会場でやっていく中で、テンションをゆっくりで構えてしまうとひとつふたつミスが続いた時に失点する可能性が高かったので、あえてああいうプランニングにしました」とその狙いを説明する。
するとこの狙いが奏功。先制したのは川口西だった。前半3分、右サイドを抜け出したFW田中悠真(3年)がドリブルでひとり剥がし、キーパーをつり出してグラウンダークロス。これを2戦目以降トップに入るMF小野寺栄斗(2年)がしっかりとゴールに流し込んで試合を動かす。
しかし、南浦和も攻撃に関して一家言あるチーム。こだわりのドリブル突破からこの日もMF畑乙樹(3年)、MF升掛壮梧(3年)が仕掛けていくと前半13分、畑が高速ドリブルでエリア右をえぐってマイナスのクロスを送り、これをFW伊藤堅吾(3年)が決めて同点に追いついた。
勢いに乗る南浦和は中盤でセカンドボールを回収し2次、3次攻撃に。そこで得たコーナーキックから前半29分、MF坂本勇希(3年)のオーバーヘッドのこぼれ球を升掛が押し込むもこれはオフサイドの判定。さらに31分にはセットプレーから畑のミドルシュートが枠を捉える。しかしここは川口西の10番・田中がライン上でかき出すビッグプレーを見せてゴールは許さない。
すると後半1分、今度は田中が攻撃で魅せる。DF森岡亮大(2年)のロングフィードに得意の裏抜けで抜け出すと、最後はキーパーを交わしてゴールに流し込んで大きく咆哮してみせた。
その後は一進一退の展開の中でゲームはラスト5分へ。しかしゲームはここでは終わらなかった。後半28分、南浦和はセットプレーから升掛が繋ぎ、左サイドの畑へ。畑の仕掛けからのシュートは一度ディフェンスに防がれたが、こぼれ球を今度は角度のないところから逆サイドネットに突き刺し土壇場で同点に。そして試合は60分を終えても決着がつかずPK戦に突入した。
PK戦も接戦となった。先に川口西の守護神・德永伸哉(3年)が相手の2、3本目をストップしリードを奪ったが、南浦和も負けじとGK田原翔(3年)がこれを決められれば敗退が決まる緊張のかかる4、5本目をこちらも連続して止め返す。サドンデスに及んだPK合戦は6本目で決着がつき、川口西が初の4強進出を決めたが、両軍が最後まで死力を尽くしたベストバウトだった。
「本当にすごい試合でした」と振り返った横田監督は「歴史を作ろう、みんなで証明しようと入っている大会。やっぱり一筋縄では簡単に勝たせてくれない相手で何回も追いつかれて苦しかったですけど、でも本当に子供たちが本当に粘り強く戦って、最後PKのところもかなり接戦になりましたけど、本当に新人戦の分まで、去年の子たちの分まで気持ちを込めて蹴ってくれた、止めてくれたと思っています。あとひとつ、ふたつ勝ち上がれるように頑張りたい」とした。
大会初のベスト4でまずはひとつ歴史を作った。次は初の関東大会出場を決め、最後は初のタイトル獲得に向けて突き進む。「自分たちの力を証明する大会」。悲願の頂点まであと2勝だー。
石黒登(取材・文)
試合結果
南浦和 2(3PK4)2 川口西
1(前半)1
1(後半)1
3(PK)4