プリンス初黒星を喫した昌平 「個の色」を生かしながらチームとしてどう昇華させていくか
序盤に負った2失点が重く響いた。ここまでの6戦で4勝2分とプリンスリーグ関東で無敗を貫いてきた昌平は帝京(東京)と対戦。しかし、1分にいきなりコーナーキックから失点すると、14分にはカウンターから相手の10番FW伊藤聡太(2年)にこの日2失点目を喫してしまう。
飲水タイム後は落ち着きを取り戻し、MF篠田翼(2年)が長い距離を運んでチャンスメイクや30分にはMF米陀大洋(3年)のスルーパスからFW小田晄平(1年)が抜け出し。アディショナルタイムにはカウンターからDF本間温士がカウンターから快足を生かしてゴールエリアに侵入したが、ここはレジスタFC出身の帝京の守護神・岸本悠将(3年)の攻守に防がれてしまう。
後半は帝京が引いたことにより、昌平がボールを持ってゲームを展開。前半最後に投入されたMF平原隆暉(3年)がトップ下の位置でパスを散らしつつ、DF篠田大輝(3年)らサイドの推進力を生かしたサッカーでゴールを奪いにかかるが、なかなかネットを揺らすことが出来ない。
後半33分にはMF井野文太(3年)を起点に、クロスに平原がひとり外してミドルシュートを放つもキーパーがセーブ。39分にはセットプレーのこぼれ球を最後は篠田大が右足で狙ったシュートは枠外に外れた。後半は押し込みながら6本のシュートを放ったが、相手の粘り強い守りもあって得点に結びつけることが出来ずに0-2で破れ、今季プリンスリーグ初黒星となった。
「前半の2点が痛かった」と藤島崇之監督。その後はボールを持って進めたが、「前に行く意識が強すぎた」ことで選手間の距離が開いてしまい、効果的な攻撃を仕掛けることが出来なかった。
今年のチームは例年と比べても「個で打開していくスタンスは強い」(藤島監督)。注目10番のMF荒井悠汰(2年)や本間、篠田大の両SB、U-16日本代表候補の篠田翼など、縦に行く力は歴代の中でもトップクラスだ。逆に“行けてしまう分”、MF須藤直輝、MF小川優介(鹿島)、MF柴圭汰(福島)、FW小見洋太(新潟)らを擁した昨年のチームなどと比べるとパスで崩しながら「ここでこいつが出てくるか」というようないわゆる“昌平らしい”連動というのはまだ少ない。
チームの舵取りをする井野は「周りが“こいつドリブルするんだろうな”と止まってしまう部分がある。そういう部分で止まらないでどんどん顔を出して、働きながら出来たらもっと良くなるのかなと思います」と現在のチームの課題を語る。また、得点のレパートリーの少なさも挙げ、「そういう部分に気づかせてくれた試合だったので、今後改善していけたらと思います」とした.
もちろん“個で行ける”というのは今年のチームの色であり、生かしていくべきポイントだ。一方で構えられた時、どう崩していくか。「個の色」を生かしながら、それをどうチームとして昇華させていくか。関東リーグのレベルの高い環境で経験を積みながらその最適解を探していく。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 0-2 帝京
0(前半)2
0(後半)0