“相方”細田の無念の離脱に「自分がやらないと」。西武台FW松原海斗がチームを決勝に導くゴール!
「ここ最近、点が取れていなくて、県予選も自分が出て点は取っていたんですけど、あまり「チームを勝たせられるような点」というのを取っていなかった。今日は0-0で前半を折り返して後半に出ると言われていて、自分が点を取ってチームを変えたいとずっと強い気持ちを持っていて、それが試合に出て良かったです」。殊勲のFW松原海斗はそう言って試合を振り返った。
前半から縦に強い相手に対し、西武台はなかなかペースを掴み切れていなかった中で「やっぱり松原がポイントになるだろうなというのはありました」と守屋保監督。この日は後半11分からピッチに立つとその7分後、FW丸山実紀のアーリークロスに「大学生とやった時もそこは通用出来ていた」という初速の速さを生かし、位置取りの不利を挽回してボールを触ると、こぼれ球にこれまたいち早く反応して右足を伸ばして決めた一発がチームを勝利に導く決勝弾となった。
「やっと決められてホッとした」というのも束の間、駆け出したその先にいたのが1回戦で左手を骨折しベンチを外れたFW細田優陽だった。松原は昨年12月に腰の疲労骨折、細田は股関節の怪我とともに今年離脱を経験した2人は県予選でもほとんどの試合で同じタイミングで途中出場。圧倒的なスピードと切れ味抜群のドリブルで侵入する松原、細田の存在は相手にとって相当脅威となっていた。そういった中で細田は決勝で先制点をマークするなど結果を残していた。
今大会1回戦の山梨学院戦も2人は後半8分に揃って出場しチームの勝利に貢献したが、そのゲームの終盤、ファールを受けた細田が転倒の際に左手を骨折。復帰から徐々にプレータイムを増やし、この関東本大会、そして次週の3回戦から登場するインターハイ予選に懸ける気持ちは人一倍強かったはずで無念の想いも大きかったのだろう。試合後、細田の顔は涙で濡れていた。
先に結果を残していたある意味“相方”の無念の離脱に「自分がやらないとなと思った。ゴールを決めたらヒロヤのところに行こうと決めていました」と松原。スタンドでハイタッチを交わすと、細田からは「松原、よくやったぞ!」と激励。今大会は細田の分も自分がチームを引っ張る。
50mを6.2秒の俊足に加え、ひとりでも局面を突破できる打開力が自慢。本人も「やっぱり1対1は絶対に勝たないといけないというか、勝たなかったらFWでやっている意味もない」とそこには強いこだわりを持っている。試合前にはいつも川崎フロンターレのU-24日本代表MF三笘薫のプレーを見ているという。「1対1の時に敵のもう一個奥の選手を見ながらプレーを選択していると聞いた。あとはタイミング。縦に行くタイミングがやっぱり、三笘選手はめちゃめちゃそこのタイミングがすごいので、そういったところを参考にしています」。いまは試合に出ながら怪我を治しているというが、完治すれば今年のメンバーの中でも屈指のアタッカーで「味方を使いつつ、中と外、パスとドリブルをうまく使い分けられて、また違う角度のドリブルが生かされるようになればもっともっと良くなっていく」と指揮官もさらなるレベルアップを期待する。
結果が出たことを自信に変えて、また大きな成長へ。松原は「やっと点が取れたという感じで自分に自信がついた。次は決勝ですけど、自分がまた決めてチームを勝たせられるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。決勝でもゴールを奪い、チームを11年ぶりの『関東制覇』に導く。
石黒登(取材・文)
試合結果
明秀日立 0-1 西武台
0(前半)0
0(後半)1