浦和西注目の世代が準決勝の反省生かし3位決定戦を制す 「選手権で優勝狙う!」

浦和西、注目の世代が準決勝の反省を生かし、3位決定戦を制した。

「準決勝では受け身になってしまって、ちょっと不本意な終わり方をした。消化不良なところがあったので、しっかり力を出し切れるように、序盤からどんどん行こうということを話して試合に入りました」と樫村和也監督。準決勝の南稜戦は先にボールを触ることができず相手ペースに。後半に盛り返したが、「自分たちのプレーが思い切り出来ていなかった」(伊藤)反省点があった。

その反省を生かし3位決定戦の松山女子戦では序盤からフルスロットルで畳みかけた。すると前半6分にDF齋藤舞奈美のスルーパスに50mを6.9秒の俊足と裏抜けを得意とするFW篠崎陽子が反応し右足で流し込んで先制。さらに15分にはコーナーキックからターゲットを務める篠崎が折り返すと、1年生DF松尾日菜子がヘディングで押し込んで立ち上がりで2点を奪った。

途中前掛かりになった中盤のスペースで握られる場面もあったが、前線からの守備を徹底するなどゲームの中でしっかりと修正。後半4分には10番MF伊藤瑞希のアシストからMF川窪園果が決めて3点目とした。その後もしっかりとゲームをコントロールし、3-0で勝利した。

主将の伊藤は「最初からみんなで良い雰囲気を作れて、組み立て方もむやみに蹴ったりするのではなくちゃんとパスを繋げた。個人個人が落ち着いてプレーできていたのでそこは良かったなと思います」と決勝を振り返り。1ゴール、1アシストの篠崎は準々決勝で右足首を捻挫し、練習もなかなか出来ていなかった中で「言い訳しないように」挑み、しっかりと結果を残した。

もともとこの代は前線でのキープ力に定評のある伊藤、篠崎に加えて、FW荻野純菜が1年生の頃から県トレセンに選ばれるなど注目されてきた代。今大会は骨折で出られなかった荻野に変わり伊藤が左サイドに。「純菜に比べたら足技とかはあまり得意ではないんですけど、自分は右利きで中を向きがちな癖がある中で縦へのドリブルも、中へ入り込んでのシュートもどちらも意識してプレーするようにしていた」と運動量高く、中と縦を使い分け“違い”を生み出していた。

また、篠崎と2トップを組んだFW内山柚生も本来はボランチの選手だった中で準々決勝の昌平戦で4ゴールと爆発。荻野が復帰すればさらに前線は活性化していきそうで、篠崎は「この代はみんなドリブル力やスピード、キックもあるし、結構揃っている」と攻撃力に自信を見せる。

さらに今大会は守備陣も奮闘。2、3年は前目の選手が多かった中で守備に一抹の不安を抱えていたが、ディフェンスの選手が多かったという1年生を加えて大会前は守備の整備に時間をかけてきたという。そういった中で今回は松尾とDF門松珠央の1年生2人を加えた1、2年生の若いディフェンスラインで臨み、失点は5試合を戦って南稜戦の1点のみに抑えてみせた。

「準決勝は力を出し切れなかったという想いがあった。本当だったら決勝に行けるようなチームだったということは選手たちに言っていました。だからこそもし選手権でその舞台(決勝)に行くんだったら、ここでやっぱり3位を取っておかないと、ということは強く行っていました。今回それが出来て、次に繋がってくれたらいいなというふうに思っています」(樫村監督)

冬の選手権ではこのひとつ先、そして悲願のタイトルへー。伊藤は「去年はなかなか大会が出来ず、自分たちの実力があまり実感できていなかったんですけど、今回3位という立場につけて、全試合を通して南稜戦以外は失点もなく、前線に私たちの代がいて、バックにも力強い後輩たちがいて、チームとしてどんどん成長できていると思う。選手権ではもっともっと成長して、相手に1点も取らせずに自分たちのプレーができるような試合をしたいと思います」と成長を誓う。篠崎は「この結果に満足しないで、上を狙って、日々これからの練習ももっと集中力を上げて、優勝を狙っていけるチームになるように、伊藤を中心に頑張っていきたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

松山女子 0-3 浦和西
0(前半)2
0(後半)1