全国高等学校総合体育大会 埼玉県予選3回戦 浦和東 vs 慶應志木

全国高校総体・埼玉県予選3回戦。昌平高校会場第2試合は浦和東高校と慶應義塾志木高校が対戦。前半に2点を先行した浦和東が後半1点を返されたものの、終了間際にPKによる1ゴールを加えて3ー1で勝利し、ベスト8進出を果たした。

良い意味での「想定外」。浦和東・鈴木豊監督、主将のGK高草木天平が2得点を挙げた前半を振り返っての言葉だ。「いつも前半はチャンスを作りながら取れないというのが今年のチームの課題だった」と鈴木監督。まずは守備からという考えのもと、人数をかけてボールを奪いにいきながら、この日は前半から2つの好機を得点につなげた。

先制点は前半31分。決めたのは直前にもドリブルから惜しいシュートを放っていた左サイドのMF横田遥人。「相手が中に寄っている感じだったので、外に開いていればもらえるかなと思った」というサイドの仕掛け人はMF石塚陸斗のパスを引き出すと、1度キックフェイントを入れながら空いた股を見逃さずにゴール左隅に流し込んだ。

さらにその7分後には追加点。「ボールがこぼれてきた瞬間に間接視野でキーパーが出ているな」と判断したFW小川翼がハーフウェイライン付近から思い切ってシュート。ボールは見事な軌道を描きながらキーパーの頭上を越してゴールに突き刺さった。3戦4発のエースのビューティフルゴールも決まり、浦和東が2ー0で試合を折り返す。

一方、前半はMF河合瑞季を起点に一時は浦和東を押し込んだ慶應志木も、まずは1点という中で後半10分過ぎから連続してセットプレーでチャンスを作る。

直前の場面は高草木の好守に遭い得点とはならなかったものの、続いて後半18分にコーナーキックを獲得するとエリア外へのボールにDF川口裕也がダイレクトでシュート。これも高草木が反応したが、弾いたこぼれ球をDF杉本弦が詰めて1点差とした。

それでもここから浦和東が真骨頂を発揮。「この(後半)20分過ぎに動けるために日々トレーニングをしている」(鈴木監督)。息を吹き返すと後半22分に小川が、26分にはDF宍戸俊太が決定的な場面を作り出していく。また相手のロングボールに対しても、宍戸、青木兵吾のセンターバックコンビがヘディングで弾き返して決定機を許さない。

すると後半37分にダメ押しの3点目。「相手が3バックになったのでカバーがいないなと思った」という横田が呼び込んで仕掛けるとエリア内で倒されてPKを獲得。これをMF市村悠太朗が冷静にキーパーの逆をついてゴールネット右角に沈めた。

慶應志木は敵将も「最後まで苦しめられた」という10番の河合を中心に、途中出場のFW海野峻吾のミドルシュートなど最後まで攻める姿勢を見せたものの1点が遠く。試合はこのまま3ー1でタイムアップ、浦和東が準々決勝行きを決めた。

準々決勝の相手は新人戦支部予選決勝で敗れた浦和西高校に。「浦和西にリベンジする、その挑戦権を得よう」(鈴木監督)ということで挑んできた今大会。その試合で1ゴールを決めた小川は「今回は自分のゴールで勝ちきりたい」と意気込んだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和東 3-1 慶應志木

2(前半)0
1(後半)1