新人戦があればCB起用だった。西武台FW市川遥人が今大会2度目のハットトリック達成
関東大会・県予選準決勝。西武台と正智深谷の一戦は4-0で西武台が勝利し決勝進出を決めた。
「思った以上に落ち着いて入ってくれた。相手が何をしてくるのか、自分たちが何をするのかというところをしっかりと考えながら、ポジションやプレーを選択できていた」と守屋保監督。
前半2分、今季から右SBを務める原田蓮斗が前線でボールを拾ってクロスを送ると、角度のないところからFW市川遥人が首を振って逆サイドネットに決めて先制。さらに17分には相手守備陣の一瞬のミスを見逃さなかった市川がパスカットし、ゴールに流し込んで2点目とした。
一方、正智深谷もボランチの寺田海成が前に出てプレーするようになると後半は一気に押し返す。1分にはDF大澤航祐のクロスにニアサイドで寺田がヘディングで決定的な場面を作る。
それでも西武台はここを凌ぐと後半28分、MF丸山実紀とのパス交換で前進したMF福沢安莉がエリア左のMF山本匠馬に絶妙な浮きスルーパス。切り返しから山本のシュートは正智深谷GK小櫃政儀のセーブに防がれたが、こぼれたところを市川が詰めてハットトリックを達成した。
さらに「交代選手を入れることによって、もう一回スイッチが入るという形がいまできている。その部分では交代でメッセージを与えようと思っていた」と指揮官がいうように西武台はFW細田優陽、FW松原海斗が入ってくると再びラインが上がり、高い位置でボールを回す形も増えた。
後半38分には左コーナーキックの跳ね返りをDF武笠隼季が右足ボレーでゴールに突き刺してダメ押し。選手層の厚さも示した西武台が快勝で6年ぶりとなる関東大会出場切符を掴んだ。
新人戦があればCB起用だった。西武台FW市川遥人が今大会2度目のハットトリック達成
もし今年新人戦が行われていたとしたらCBで出ているはずだった。西武台のFW市川遙人が準決勝・正智深谷戦で今大会2度目のハットトリック達成、今大会3戦7発と大暴れしている。
この日は前半2分、DF原田蓮斗からのクロスの形から角度のないところを首を振って逆サイドネットに流し込んで先制。17分には「天然芝はちょっとボールが遅くなるのはわかっていたので、そこはしっかり突こうというのが自分も目標だった」とサイドバックのパスミスをカットして、ゴールに運んだ。さらに後半29分には味方のシュートのこぼれ球を詰めて3点目とした。
今大会は第2戦からスタメンを掴んだ中でその試合で早速ハットトリックを記録するなど3戦7発と爆発中。「いまは調子が良いので前がすごいやりやすいですし、トップ下の福沢くんとかもいて、声を掛け合いながらやっているので結構良い感じで入れている」と手応えを口にする。
もともとこの代は期待値の高かった中で市川は1年時からAチームに入るなど早くから頭角を現したが、その後はなかなか公式戦の出場機会を得ることができず。昨年の選手権メンバーからも外れた。「悔しい想いをしたのでそこは自分の代で見返そうという気持ちだった。練習後の自主練を少し長くやったり、そこは自分がしっかりやらなきゃという気持ちが強くなりました」。
相手をそのまま引きずっていくような力強さと推進力は魅力のひとつだ。新チームのスタートではその球際を買われてCBにコンバート。今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言もあり新人戦が中止となったが、もし開催されていればCBで出場する可能性が高かったという。
また、運動量もあり、2点目のような前線からの献身的な動きも武器。「自分が追うことによってチームのみんなが楽になったり、それが自分の良さだと思う。そこはもっと出していきたい」。
今大会はチーム事情もあり、再びFWへ再コンバートした中で「CBをやってどういうFWが嫌とかはわかっているので、そこをFWで生かせている」とセンターバックでの経験も生かしながらプレー。結果が自信を呼び、自信が結果に繋がるという好サイクルで得点を量産している点取り屋は「このチームのエースは自分」という覚悟を胸に決勝でもゴールを積み重ねる構えだ。
石黒登(取材・文)
西武台 4-0 正智深谷
2(前半)0
2(後半)0