令和2年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会決勝 本庄第一 vs 南稜

令和2年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会・決勝。本庄第一と南稜の一戦はFW比嘉萌々、MF松野尾沙也のゴールで2-0と本庄第一が勝利し、4年ぶりに県タイトルを奪還した。


前半から本庄第一がボールを持って進める中で15分には2年生FW比嘉萌々のヘディングがクロスバーを強襲する場面もあったが、「自分たちは足下で繋ぐサッカーがやりたかったんですけど、繋ぎすぎてしまって、相手の裏にスペースがあるのに抜ける人がいなくて詰まってしまった」(松野尾沙也)。チームの武器であるサイド攻撃もなかなか機能せず前半は無得点で終えた。

一方、前半は我慢の展開が続くもしっかりと守り、無失点で切り抜けた南稜も後半に入り大きな決定機を迎える。16分、左サイドからのアタックから10番MF佐藤瑠南が切れ込んで狙うが、シュートは惜しくもポストを直撃。先制のチャンスだったが、ものにすることができない。

すると本庄第一は後半22分、ゴール前の混戦で途中出場のFW小野望愛がポストで落とすと、比嘉のパワフルなシュートでネットを揺らした。勢いに乗るチームはその5分後、フリーキックを比嘉がすらすと、ボールを受けたMF松野尾沙也は相手ディフェンスを背負いながら高速に反転して左足を一閃。10番の技ありゴールで追加点とした本庄第一が2-0で勝利した。

4年ぶりの県タイトル奪還となった本庄第一だが、日野聡監督はあくまでもここは「通過点」だと語る。その視線の先にあるのは関東大会を突破しての2014年以来となる6年ぶりの全国だ。

昨年は「良いサッカー」を展開しながらも、試合を分けるキワの部分でそれを「勝つゲーム」に繋げることができず。今年はエース・松野尾を中心に昨年を経験している選手たちも多く、同じ轍は踏まないと心に刻んでいることだろう。とはいえ、「自分も選手も肩に力が入っていない。それがいいんだと思います」と指揮官。関東大会も自然体で臨み、そして全国切符を掴み取る。

松野尾沙也と比嘉萌々が「有言実行」のゴール。松野尾は関東大会での毎試合ゴールを宣言

本庄第一はトップ下のMF松野尾沙也、1トップのFW比嘉萌々の縦コンビが勝負を決めた。

先制弾を決めたのは2年生FWの比嘉だ。後半22分、味方のポストプレーを受けると迷わずに右足を一閃。「もう絶対に決めるぞという気持ちでした。気持ちで押し込みました」。直後、キーパーの反応も許さないパワーショットが右のポストをかすめながらゴールに突き刺さった。

すると先輩・松野尾もそれに続く。先制点から5分後、フリーキックを「予定通り」手前で比嘉がすらすとボールは走り込んだ松野尾の足下へ。相手ディフェンスを背負っての状態だったが、「自分はあの形は得意なんですよ。だから「来た!」と思いました」と松野尾。目にもとまらぬスピードで鋭く左に高速反転すると、そのままの勢いで左足を振り抜きネットを揺らした。

ゴール後、松野尾は比嘉に飛びついて激しく抱擁。実は試合前に「1ゴールずつ決めよう」と約束していたという。有言実行のゴールに松野尾は「もう本当に嬉しすぎました!」と破顔一笑。比嘉も「本当に嬉しかった。もう気持ちが前面に出ちゃいました!」と興奮した面持ちで話した。

小柄ながらもテクニカルでボールを失わない松野尾と「気持ちは自分が一番強い。ガツガツいくプレースタイル」が信条の比嘉は傍目から見てもナイスコンビ。昨年は関東で敗れ大粒の涙を流していた松野尾は「関東でも自分が得点して優勝を狙って頑張ります。毎回1点取ります!」とリベンジの舞台での毎試合ゴールを宣言。比嘉は「先を見すぎず、まず一戦一戦戦っていくことを意識して、絶対に勝ちたい。もちろんゴールもしっかりと決めて、絶対に勝ちます」と語った。

6年ぶりの全国大会を目指す関東大会でも「2人揃って」のゴールに期待したいところだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

本庄第一 2-0 南稜
0(前半)0
2(後半)0