埼玉県3rdチャレンジリーグ2020 Dリーグ 武南 vs 成徳深谷
27日、埼玉県3rdチャレンジリーグ2020の最終節が開催。Dグループでは成徳深谷が試合終了間際のフリーキック弾で1-0と武南を撃破し、3連勝で1位トーナメント進出を決めた。
成徳深谷が3連勝で1位トーナメントへ。富井健成が決勝FK弾「いままでで一番良いゴール」
前節を終えて成徳深谷が勝ち点6の得失点差4、武南が勝ち点3の得失点差1。成徳深谷は0-2までの負けならば1位トーナメント進出が決まるという状況だったが、「この試合に負けて突破というのは自分たち全員が考えていなかった」とキャプテンを務めるDF酒井俊輔。
前半はその成徳深谷が球際や縦に速い展開でペースを握る。後半は勝ちが絶対条件の武南が猛攻を仕掛けたが、シュートはなかなか枠を捉えきれず。成徳深谷も最後の部分で粘りを見せた。
すると終了間際の後半39分、成徳深谷はMF富井健成が相手ゴール前でフリーキックを獲得。自らスポットに立つと「カウンターもあって壁に当てるのが一番最悪だと思っていたので、壁を越して落とすイメージで左端に決めようと思いました」。直後右足のコントロールシュートがディフェンスの上を巻いてゴールに左端に突き刺さりこれが決勝点。「自分的にはいままでで一番良いゴールだった」という富井の会心のゴールで成徳深谷が1-0で武南を下した。
「腐らずやってきて良かった」。3rdチャレンジリーグのある意義
「腐らずにやってきて良かった」。これはこのリーグを戦う3年生たちの総意だろう。
成徳深谷3rdの主将を務める酒井もこの3年間でセカンドチームには行ったことがあるという中でなかなか出場機会は掴めず。富井も同様だという。そんな中でコロナによって開催が遅れたものの、今年8月に「埼玉県3rdチャレンジリーグ」がスタート。これにより入学間もない1年生に加え、これまで出場のなかった3年生たちにも公式戦の機会が与えられることとなった。
「3年生が中心でこうやって公式戦をやっていただけるというのは本当に自分たちはめっちゃ嬉しいですし、こういう公式戦の機会も自分たちは3年間少なかったので、そういう意味では本当に良い機会をもらえているなと思います。
(この3年間は)きついことが多かったんですけど、下のカテゴリでもずっとやってきた甲斐があった。やっぱり頑張ってきたら誰か見てくれている人がいる。最後の最後のこういう機会で、スタメンで、キャプテンをやらせてもらうというのは、1年生の時から頑張ってきたからだと思います。本当に良かったなと。どこかで腐っていたらここには出られていないと思うので、最後まで頑張れて良かったです」と酒井。
富井は「やっぱり私立なので親への感謝もあるし、最後までやりきることがその親への恩返しだと思っていた。だから最後まで続けて良かったなと思います。腐りかけていたこともあったけど、家族とか友達とかの支えがあって、それはやっぱり自分ひとりじゃできなかったなと思います」と支えてくれた人たちへの感謝を口にする。
スタッフ陣を含め、今リーグに対する想いは強い。「みんなやってやろうという空気があるし、リーグが決まってからアップの声も増している。スタッフもみんな本気で向かってきてくれるので、それに自分たちも応えて、全員で協力し合っていっています」と酒井はいう。高校サッカーは何も選手権だけではない。初代王者を目指す3年生たちの熱い戦いにも注目だ。
石黒登(取材・文)
試合結果
成徳深谷 1-0 武南
0(前半)0
1(後半)0