高円宮杯 JFA 第32回全日本U-15サッカー選手権大会 埼玉県予選 代表決定戦 アレグレ vs 南浦和中
「高円宮杯 JFA 第32回全日本U-15サッカー選手権大会 埼玉県予選」の代表決定戦が9月21日に行われ、第5代表では南浦和がアレグレを1-0で破り、初の関東大会進出を決めた。
立ち上がりから南浦和がボールを持って進める中で、アレグレはDF齊藤麗乙南を中心に質の高い守備を見せて決定機は作らせず。神立朋次監督が「うまく守られてしまった」と試合後に話したように、南浦和中は前半なかなかシュートシーンまでも持って行くことができなかった。
それでも後半は「とにかく相手よりも早く準備しよう。ボールをしっかりと持ってシュートへ行こう」というところを確認するとそこから一気にペースアップ。すると後半22分、途中出場の2年生MF升掛壮梧が中盤でボールをキープして時間を作り、左サイドバックの橋本優吾のクロスにエースFW高橋伸太朗が打点の高いヘディングで合わせてこれが決勝弾となった。
中体連の高円宮杯・関東大会出場は2017年の尾間木中に続く、3年ぶりの快挙となった。
「関東大会でJのチームを倒そう!」気持ち切り替え臨んだ高円宮杯
昨年は学総関東大会で準優勝し、全国中学校体育大会にも出場した南浦和中。そのメンバーも多く残る今年は新人戦で初タイトルを獲得し、「全中」でのさらなる躍進も期待されていた。
しかし、そんな折に今年は新型コロナウイルスが流行。日本中学校体育連盟(中体連)は感染拡大が収束しないことを踏まえ、4月28日に大会史上初めての全中中止を発表した。
「全中がなくなるという知らせを聞いたときは正直もうチーム全員が絶望していた」とキャプテンを務めるFW高橋伸。そこにかけていただけに、絶望は大きなものだった。
そんな中でチームはミーティングを決行。「全中がなくなることが決定して、生徒を呼んで「どうする」という話をした。残されているのはこの大会だったので「高円で関東に行って、Jのチームを倒そう!」という目標を、まだ何も先が見えない4月に生徒たちと新しい夢を見つけて、そこに向けて頑張ろうということでやってきた」と神立朋次監督は明かす。
新たな目標を胸にこの春夏は全体練習ができない時なども個人練を重ねるなど各々がモチベーションを落とさずにレベルアップ。迎えた今予選ではベストゲームだったと語る1FC戦、そしてアレグレと埼玉県1部リーグ所属の2チームを下し、関東大会出場を決めた。
指揮官としても初の高円宮・関東大会へ。「また新しい目標をもう一個関東大会で描きたい。漢字のチーム(中体連)がどこまでできるのかやってみたい」と意気込みを語った。
エースの証明。FW高橋伸太朗が決勝弾
65分間押さえられてもワンゴールでチームの雰囲気を変えることができるのがエースだ。
南浦和FW高橋伸太朗は前半、相手の厳しいマークに遭う中で「関東決めというところで緊張もあって、固く入ってしまった」と、持ち味を発揮することができなかった。それでも後半は「そこを掻い潜ろうと思って、どんどん仕掛けていきました」と積極的な姿勢を見せていく。
すると後半22分、左サイドバックの橋本のクロスを、ファーポストでジャンプ一番ヘディングで叩きつけてこれが決勝点に。打った高橋自身も「自分でもあんな綺麗にというか、しっかり当たると思わなくて(笑)。よく当たって良かったです」という会心のゴールだった。
実はヘディングはもともと得意ではなかったという。「8月に高校生と試合をする機会があって、9番の秋本(光瑛)が後ろに行った時に僕が競ることになった。そこからヘディングを強くならないといけないと思って、普段の練習から両サイドバックの2人にクロスを上げてもらってヘディングする練習をしていて、それがやっと実ったので良かったです」。
ゴール後はひとつ咆哮。「学総がない分、この高円にかける想いはとても強かったので喜びが爆発しました」と高橋。神立監督も「こういう展開でも決めてくれるのがエース」と認めた。
関東大会での目標はもちろん「Jクラブ撃破」だ。「自分がゴールを決めればチームも乗るし、決めなかったら負けてしまう。そこのところで自分がしっかり決めきって勝つというのはいつも意識しています」というエースストライカーの関東の舞台での大暴れを期待したい。
石黒登(取材・文)
試合結果
アレグレ 0-1 南浦和中
0(前半)0
0(後半)1