令和元年度 高校サッカー新人大会 決勝 昌平 vs 西武台

埼玉県高校サッカー新人大会・決勝(16日、青木町公園)。昨年の選手権予選決勝と同一カードとなった昌平と西武台の一戦は昌平が1ー0で勝利し、2年連続5度目の大会Vを飾った。

先に決定機を作ったのは西武台。プレスが嵌ると前半9分、高い位置を取った左WBの岡崎大志郎のクロスに起点となったMF村田智哉が合わせたが、シュートはキーパーの正面だった。

その後は昌平がボールを回しながら押し込む展開に。中央でさすがのスキルを見せたMF須藤直輝がドリブル突破でえぐっていくが、西武台もクロスにMF武笠隼季やDF大川和貴が身体を投げ出して入れさせず。10番の村田も戻って守備を見せる。前半24分には須藤のスルーパスにFW小見洋太が抜け出したが、GK伊佐山縁心が身体に当ててセーブしてゴールは許さなかった。

それでも昌平は前半31分、2度3度と迫っていく迫力ある連続アタックからゴールを破った。DF田島魁人のパスから須藤が右サイドを抜け出すと、深くから小見を狙ったマイナスクロスは相手守備に当たったが、ここに走り込んだMF篠田大輝が思い切りよく蹴り込んで先制した。

後半も昌平が優勢にゲームを進める中で、小見の完璧な抜け出しを伊佐山が好守で防ぐなど守備で善戦した西武台だったが、攻撃の部分では1点が遠く。後半はスコアは動かなかったが、勝負所でしっかりと1点を取り切る強さを見せた昌平が1ー0で勝利し、大会連覇を飾った。

追加点は奪えなかったものの、終始押し込んでの勝利に昌平・藤島崇之監督は「内容的には充実していた」と評価。この試合ではひとりに2枚、3枚とくる西武台の守備に対し持ち前のスモールエリアでのうまさを見せたほか、奪われてからの守備でも切り替えの速さも発揮した。

盤石の強さを見せた中で今年はAチームがプリンスリーグ、BチームがS1リーグと多くの選手が高いレベルを経験できるのも大きい。「いろいろな選手を使って活性化ができればいいと思いますし、そこに競争意識をちゃんと持たせながら良い選手を育てていくスタンスは変わりなく持ちたいと思っています」と指揮官。またその中で色を持った選手の育成をひとつ挙げた。

すべては最後の選手権で日本一を取るため。「今回の選手権である程度のイメージは湧いた。やれないことは絶対ない。でも負けているというところにちゃんと目を向けて何が足りないのか。技術だけの勝負じゃないところもありますし、ゲームの流れを知るだとか、試合全体のコントロールをしていくだとか、そういう大切な部分もあるので、そういった意味で青森山田戦はひとつの契機になればいいのかなと思っています」と指揮官は静かに、だが力強く語った。

悲願の日本一達成に向けて、昌平高校期待の世代がタイトルで新シーズンをスタートさせた。

篠田大輝は結果残すも「嬉しさ2割、悔しさ8割」。プリンスLで成長してより決定的な選手に

「この試合は課題が多く見つかったというか…。技術の低さとか、惨めさっていうか、自分の弱さが出た試合だったので、納得がいかない試合でしたけど、自分の得点で勝てたことは本当に良かったですし、助けてくれた仲間のみんなに感謝したいです」。優勝を引き寄せる決勝弾を決めたMF篠田大輝だったが、試合後に本人の口から聞こえてきたのは反省の言葉だった。

前半31分、須藤のクロスがディフェンスに当たってこぼれると「ゴールが見えたので思い切り振り抜こうと思って打ちました」と右足を強振。これがネットに突き刺さり決勝点となった。3戦連発4得点目と結果を残したが、一方で「自分の中でもゴールを取ることは意識していて、昨日も今日も『ゴールを意識したプレーをしろ』と監督の指示もあったんですけど、できるところが少なくて課題が多く見つかった」「小さなミスから大きなミスまで全部あったんですけど、やっぱり慌てちゃうというか、弱くなるというか、強気でできていない感じが自分の中にあって悔いが残った」と篠田。「嬉しさ2割、悔しさ8割。悔しさの方が大きかった」。

今大会を通して藤島監督から最も要求を受けていたのが篠田だった。それは期待の裏返しでもある。指揮官は「ほかの選手と比べて技術的な部分の繊細さというところはまだまだ足りない」としつつ、「点を取る力は一番大切なところ」と1年生アタッカーの良い部分を評価。その上で「期待値が低かったらあれで満足させちゃいますけど、逆に言えばもっとできるっていう、本人もその想いは持っている」。その部分はもちろん篠田もしっかりと感じ取っている。

昨年の20番から一桁台の9番に。その期待に応えるべく、4月から開幕するプリンスリーグの舞台で成長を期す。「やっぱり前をやっているからには点を取りたい気持ちはあるし、点を取ることだけじゃなくてやっぱりチームに貢献するというか、今日見つかった課題、小さなミスも大きなミスも少なくして、昌平高校の一員として恥じないプレーをしたいと思います」。インターハイ予選までに一回りも二回りも成長して、より決定的な選手になって戻ってくる。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 1-0 西武台

1(前半)0
0(後半)0