令和元年度 高校サッカー新人大会 準決勝 正智深谷 vs 西武台

埼玉県高校サッカー新人大会・準決勝(15日、青木町公園)。西武台と正智深谷の一戦は、押し込まれた中でMF村田智哉のオーバーヘッド弾を守り切った西武台が1ー0で競り勝った。

序盤から正智深谷が球際の強さを見せて押し込む場面が目立った中で試合を動かしたのは西武台だった。前半24分、コーナーキックからの混戦をMF武笠隼季がヘディングシュート。これはクリアされたが、このボールに反応したMF村田智哉がオーバーヘッドでゴールを破った。

1点を追う正智深谷は後半、10番のMF松山碧や高い運動量を見せたFW山本滉が起点となってサイドから押し込むが、西武台は主将の大川和貴、小野魁土、原田蓮斗の3バックを中心にボランチの武笠などもカバーに入って粘り強い守備で相手にシュートを打たせず。正智深谷は38分、DF深谷朋希のクロスにMF石井鼓太郎が走り込んで頭で合わせたがこれは枠を越えた。

西武台はFW大野田駿の反転シュートがポストを叩くなど、何度かあった好機で仕留め切ることはできなかったが、前半の虎の子の1点を文字通り、全員で守り切って接戦をものにした。

村田智哉がオーベーヘッド弾!「彼をどこに置くかで戦術が変わる」今年の西武台の攻撃の核

指揮官も10番がシュートモーションに入った瞬間に「あっ決まるな」と思っていたという。

25分、コーナーキックのこぼれ球にゴールに対して背を向けて入ったMF村田智哉は「去年の選手権前の練習試合でオーバーヘッドを決めていて、2個上の代の深代(陸)先輩が選手権でオーバーヘッドを決めたのも頭に残っていた。相手の寄せも早かったので」とオーバーヘッドを選択。右足でしっかりとミートしたボールは、綺麗な軌道を描いてゴールに突き刺さった。

昨年は中盤底からパスを捌くレジスタといった印象の中で今年はもともとのボランチに加えてセンターFW、シャドーと3つのポジションでプレー。この試合では主にシャドーとしてプレーし、得点外でもサイドに的確に展開したり、守備でも前線からしっかりと走って貢献した。

守屋保監督も村田に対し「いろいろなボールに対して、いろいろな姿勢でシュートを打つことができる。あの子はいろいろな面で持っているものは高いレベルにある」「前からの守備もしてくれるし、ボールの奪い合いのところでも駆け引きができる子」と賛辞を惜しまない。「彼がどこに入るかで戦術が変わる」と語る今年の西武台のアタックを握るキープレーヤーだ。

中学年代は東京の強豪「Forza’02」でプレー。当時はバリバリのパサータイプだった。「パスは自分でほかの人よりは長けている部分かなと思って、中学まではゴールよりもアシストの方が嬉しかったんですけど、こうやってシャドーとかをやった時に決めるとやっぱり嬉しさがあって、いまはシャドーかなと思います」と、最近では攻撃的なポジションでゴールを決めることに喜びを見出しているという。またアンカー時代から見せてきた視野の広さも武器のひとつ。

「1年の時から選手権メンバーとかに入れさせてもらっていて、今年は自分がやらないとというのがある。個では負けたくない」という攻撃センス抜群の10番が今年の西武台を引っ張る。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 0-1 西武台

0(前半)1
0(後半)0