令和元年度 高校サッカー新人大会 準決勝 昌平 vs 武蔵越生

埼玉県高校サッカー新人大会・準決勝(15日、青木町公園)。大会連覇を狙う昌平はMF井野文太の2発などを含む大量5得点を奪って、10年ぶりのベスト4に進んだ武蔵越生を下した。

前半4分、昌平は少ない手数からゴールを陥れた。DF田島魁人が縦パスでスイッチを入れると、右サイドのMF篠田大輝がドリブルから相手ディフェンスとキーパーの間に鋭く曲がるアーリークロスを供給。これに走り込んだFW小見洋太が右足ダイレクトで決めて先制した。

前半18分にはコーナーキックからの流れで、田島の左クロスを篠田がヘディングで突き刺して追加点。さらに36分には篠田が積極的に左足を振り抜くと、このシュートは惜しくもポストに当たったものの、こぼれたところをMF井野文太がきっちりと詰めて前半を3ー0で終えた。

後半も昌平の勢いは止まらず。21分の小見のカットインのトライはディフェンスに防がれるも、こぼれ球からMF小川優介がゲット。アディショナルタイムには途中出場のMF佐藤優哉の仕掛けから、最後は井野が右足を振り抜いて豪快に5点目を突き刺し、ゴールショーを締めた。

武蔵越生は前半途中から投入された怪我明けの10番MF渡辺光陽が後半シュート3本と気を吐いたが、ネットを揺らすには至らず。10年ぶりの準決勝に進んだ中で新人戦は3位で終えた。

サイド挑戦の井野文太が2ゴール。昨年の悔しさを晴らすべくレギュラー定着を目指す

この日左サイドとしてスタメン出場したMF井野文太は前半36分と後半40分に2ゴール。「試合が始まる前に須藤(直輝)くんにいっぱいチャレンジしていいぞと言われていて、打ってみようかなと思って。そしたらうまくいったので良かったです」。それでも「自分的にはもうちょっと点を決められたところもあったし、決定機でちゃんと決めないと相手に流れを持っていかれちゃったりするので、そこが改善点かなと思います」と、後半の決定機逸を反省していた。

昨年は1年生ながら序盤からレギュラーボランチの座を掴んだ中で夏場に調子を崩すと、その後は小川優介、柴圭汰の牙城を崩すことができず。昌平が初のベスト8入りを果たした選手権でもベンチ入りはしたものの、井野に出番はなく、大会後は悔しそうな表情を浮かべていた。

「自分が調子を落としたのもあるんですけど、やっぱりみんなに置いていかれた部分もあったし、そこでついて行けなかったことがとても悔しかった。(選手権)予選の時も出してもらったんですけど、そこで良いプレーもできなかったので、本当に悔しい想いでいっぱいでした」。

本大会では同じく1年生のMF篠田大輝が國學院久我山戦で決勝ゴールを挙げて注目を浴びた。自分もあの場所に立っていたかもしれない。その悔しさはあったようで「やっぱり篠田が点を決めた時とかは本当に悔しくて、自分は何をやっているんだろうと思ったりもした」という。

そういった中で「今年はもっと気持ちを入れ替えてやろう」と挑んだ新シーズンに転機が訪れる。「トレーニングレベルからずっと悪くはなかった中で、やっぱり小川優介とか柴とかのあのボランチにどう食い込むかというところだったら、違うポジションでも出していっても面白いなと思っていた」と藤島崇之監督。これを好機と捉え、サイドハーフへの挑戦を決意する。

「やっぱり運ぶドリブルが自分の持ち味。そこで時間を作って味方に前に上がってもらったり、そこから自分で仕掛けたりするのが得意かなと思います」と語るドリブルはサイドでも発揮。また「サイドになってから点にこだわって、どんどん前に仕掛けるようになりました」という積極姿勢が2得点に繋がった。まだ取り組み始めたばかりということもあり、「簡単な落としのプレーとかでミスが多かった。そこを直していかないと相手がどんどん強くなっていったら通用しない」とポストの部分は課題に挙げたが、指揮官も「良さは出ていた」と評価した。

「今年はしっかりスタメンに定着して、選手権やインターハイでチームが日本一になれるように頑張っていきたいと思います」と井野。新チームでは13番を背負うが、ジョーカーにするには惜しい選手。今年はしっかりとレギュラーポジションをその手に掴み取って、結果を残す。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 5-0 武蔵越生

3(前半)0
2(後半)0