令和元年度西部支部新人大会準決勝 埼玉平成 vs 狭山ヶ丘

令和元年度西部支部新人大会・準決勝(1日、武蔵越生会場)。狭山ヶ丘と埼玉平成の一戦は2ー1で狭山ヶ丘が競り勝ち。狭山ヶ丘は決勝で武蔵越生を下し、西部支部制覇を飾った。

狭山ヶ丘は「平成対策」がハマった。「守備の行き方とか限定の仕方を前線を中心に練習していてそれがうまくハマりました」とFW嶋田昭也。先制点は狙いとしていたショートカウンターから。前半6分、FW杉山耀建とのワンツーから嶋田が4戦連続ゴールで試合を動かした。

さらにその勢いのままに21分にはエリア左で受けたMF吉野斐斗が左足で対角に低く鋭く突き刺してリードを広げた。前半はピッチ幅を広く使いながら攻め込んだ狭山ヶ丘が押し込んだ。

一方、前半は苦しい展開の続いた埼玉平成も後半に入り、チームスタイルであるポゼッションを発揮しながら、ハーフタイムに投入された左サイドの1年生FW大崎夏希が鋭い突破で襲いかかる。後半は多くの場面でボールを支配したが、相手の粘り強い守備もあってなかなか得点を奪えずに時間だけが経過。アディショナルタイムにディフェンスラインからの縦パスに抜け出た大崎のクロスからDF徳永勇弥がヘディングで決めて1点を返したが、一歩及ばなかった。

「繋ぐ」を進化させた狭山ヶ丘。前線の自由度高め、より流動的なスタイルに

「繋ぐ」スタイルが次の段階を迎えている。

昨年から「繋ぐ」をテーマに新しいサッカーに挑戦中の狭山ヶ丘。1年目はチームとしての基盤を作ってきた中で、今年は「去年のスタイルを継続しつつ、それだけじゃやっぱり勝てないと感じていたので、そこに勝負強さだとか、あとは少し前線に対して自由度を与えている。そこが去年のベースからの『進化』という感じです」と西澤正仁監督は新チームの変化を語る。

「発想が面白い」という今年は繋ぐ基本にアイディアを追加。アタッキングサードについては個のインテリジェンスに委ねているという。そういった中で「相手からスカウティングをされる中で去年までハメられていたものが、そこに判断が入ってくるから、なかなか捕まらなかったりする」。昨年までのパスサッカーを継承しつつ、前線ではより流動的な動きが見られた。

中でのジャッジを求めるスタイルは個々の成長にも繋がっており、自らの将来のためにも今年はより一層のレベルアップを目指す吉野は「これまではクロスをメインでやっていた中で、いまはピッチでアイディアを出しながら自分の特徴のドリブルがいつでも出せるような状況になっている」と進化を実感。
嶋田は「積み上げてきた繋ぐスタイルで結果が出ていることにはみんな満足していると思う。あとはイメージ共有をもっと高めていければ」と手応えを見せる。

武器のワイドを起点としたダイナミックなアタックも増加。監督やスタッフも「ワクワクしている」という「繋ぐ」を進化させた狭山ヶ丘が県大会でどのような戦いを見せるのかが楽しみだ。

CB転向の松山ジョセフ丈。高さと速さを兼ね備えたDFは昌平FW小見との対戦を希望

「今年のチームは面白いやつが多い」と指揮官が語る中で高さと速さを兼ね備えたディフェンダーも「面白い」存在だ。松山ジョセフ丈は新チームからセンターバックに転向。もともと中学時代はサイドバック、高校でフォワードに転向したということもあり、「守備面というのは中学校の時は自分の長所だったので、できるんじゃないかと思っています」と自信を見せる。

やはり一番の魅力は184cmの長身と50m走6.3秒のスピードを生かしたアグレッシブな守備。「結構自分は前に出るタイプなのでインターセプトとかも狙っていきたい。あとは足も結構早いので裏のカバーっていうのもしっかりとやって、無失点で試合を進めたいと思っています」。コンビを組むDF太田涼介とのツインタワーは見栄えも良く、セットプレー時の迫力もある。

支部では川越東、立教新座、埼玉平成、武蔵越生と西部の強豪たちとの連戦を経験。「結構良いフォワードにも効いたので、経験値っていうのは結構いま入っていますね」。県大会では「もっと良いフォワードとバトルして経験値を伸ばせたらと思います」と語った中で「やっぱりやってみたいですね」と対戦を希望したのがU-18日本代表にも選ばれた昌平FW小見洋太。裏抜けが得意な相手に対し、その速さと強さでどこまで抑え切ることができるかは楽しみな部分だ。

「今年はすべての大会でベスト4以上の結果を残して、最後の選手権ではやっぱり埼玉を取りたいですね」と松山。センターバックとしての経験値を積み上げて、県の頂点を取りにいく。

石黒登(取材・写真)

試合結果

埼玉平成 1-2 狭山ヶ丘