令和元年度南部支部新人大会準々決勝 浦和東 vs 武南
令和元年度南部支部新人大会・準々決勝(26日、惣右衛門公園会場ほか)。屈指の好カードとなった一戦は武南が2ー0で勝利して4強入りを果たし、まずは関東予選出場を確定させた。
前日の3回戦・川口東戦はチームとして練習していた形が出せなかった試合だったという。
「いま前に出ていくということをテーマにおいて練習している。昨日はうまく噛み合わず、前を向けない、ドリブルも引っかかる、ゲームの中で作れなかった」と武南・内野慎一郎監督。パスにしてもまだ練習を重ねていない中で狙いを持たない闇雲な形が目立ち、つまずいては後ろに下げる展開。「繋いでいるようには見えるけど相手にとって怖くない」攻撃に終始した。
この試合ではフォーメーション的な噛み合いもあった中で、アンカーの位置で1枚余った大谷倖輝を中心に前を向いて攻撃を展開。スコアこそ0―0だった中で前半からペースを握った。
すると後半8分にゴール前の混戦をDF竹内聖時が押し込んで先制点。さらにその1分後にはMF中込翔が仕掛けて、その落としをFW吉澤和が右足で低く鋭く突き刺してリードを広げた。
浦和東は立ち上がり、積極的にプレスをかけて武南のパスワークを分断にかかり、FW古澤将吾がドリブルでエリア内に侵入し左足で狙ったが、惜しくも枠を捉えることができなかった。
“10”を継承した吉澤和「今年1年で超えられるような存在に」。昨年エース大谷超え誓う
武南の10番・吉澤和は後半9分、味方の落としから鋭く右足を振り抜いて追加点を奪った。
「個人的には最近結果が出せていなくて、ゴールという形で結果を出すことをこの試合では一番重要視していた」という吉澤は、中込のカットインからの落としのパスに迷わずに右足を強振し勝負を決定づける2点目を決めた。「今日はスリッピーだったので低めのシュートを狙っていこうというのがありました」。ピッチではエキサイトしていた中で頭は常にクールだった。
今年は10番を継承。昨年は同じく1トップを務め、関東大会予選では7年ぶりとなる県タイトルをもたらすなど、チームの核を担ったエースストライカーの大谷涼太が背負った番号だ。
苦しい時にゴールでチームを助けたFWは目指すべき存在。「ポストもできるし、ゴールも決められるし、裏抜けもできるし、すべてできる選手だったので、大谷くんのようになりたい」。昨年はそのプレーを目で追って技術を学んだ。「すごくうまくて練習中もずっと見ていた。一緒に練習していて価値がめちゃくちゃあったし、その中で盗めたものはあった」という。
今年は同番号、同ポジションを務める中で「その存在を今年1年で超えられるような存在になっていきたい。そのためにもゴールという形でチームを勝利に導いていきたい」。前任者の存在は大きいが、そこを乗り越えて今年は自分が名門・武南のエースになっていくことを誓う。
これで川口東戦に続き、2戦連続ゴールと調子は上向きだ。「次が一番大事。今日のゴールという結果に過信せずに、自信に繋げて、またやり続けられたらと思っています」と吉澤。苦しい時こそチームを励ました前任エースのように、準決勝・浦和南戦でもゴールで勝利に導く。
石黒登(取材・文)