令和元年度南部支部新人大会準々決勝 川口青陵 vs 浦和西

令和元年度南部支部新人大会・準々決勝(26日、惣右衛門公園会場ほか)。浦和西と川口青陵の一戦は、1ー1のまま延長戦でも決着がつかずPK戦にもつれ込んだ中で浦和西が勝利した。

浦和西は前半5分、裏へのボールのこぼれ球をMF石野正太が決めて先制。しかし川口青陵もその6分後にMF田島康太の折り返しを1年生MF堀江葵利が決めてすぐさま同点に追いついた。後半は川口青陵が8本のシュートと押し気味でゲームを進めたが、決め切れず、延長戦、PK戦に突入。サドンデスまでもつれ込んだPK戦を5ー4で制した浦和西がベスト4進出を決めた。

浦和西はエースFW荒井慶太が前日の川口北戦で負傷。2回戦では左サイドバックの鹿島楓斗が相手との接触で離脱するなど、主力を欠く中でなかなか思い描くような戦いはできなかったが、それでも「その中で負け試合に等しい試合を勝ちに持っていったことには価値がある」と市原雄心監督。「インターハイに出た代も終盤でPKで勝ったりとか、そういう力を持っていた。苦しかったとは思うけど、こういう試合をものにできたのは良かったと思います」とした。

今年は技術的に高い選手も多く、「繋ぐ」ことをコンセプトに掲げる中で、インターハイに出た先輩たちの「粘り強さ」も身につけて、県大会での上位進出、そして3年前の再現を狙う。

“持っていた”1年生GK関 「負けゲーム」から一転、PK勝利でヒーローに

1年生GK関凌真はチームに流れかけていた負の流れをそのセービングで吹き飛ばした。

同点とされた場面は「自分が前に出ていれば取れたところだった」と悔やんだ中で、「先輩にもっと自信を持ってやれ、ミスしてもいいから自信を持ってやれと言われて、チャレンジしてみようという気持ちで自信を持ってやれた」と関。後半は相手の決定的なヘディングを「結構厳しいコースだったんですけど、構えや飛ぶタイミング、弾く方向もしっかりできた」と持ち味のシュートストップで止めると、反省していた前に出る守備も見せて最少失点に抑えた。

その後、試合は延長戦でも決着がつかず、勝負の行方はPK戦へもつれ込んだ。「やっぱり緊張しました。PK戦は中3の学総で負けていたのがあって、その時は全然取れなかったんです」。

それでもこの日は持っていた。互いに1本ずつを外しサドンデスへ。先行の味方が決めて迎えた相手の6本目。データも入っていたという中で「最後はこっちに蹴りそうだなとヤマを張って飛びました」。これを左に飛んで防いで渾身のガッツポーズ。キーパーの印象がもっとも鮮明に残る後攻での劇的シャットアップに指揮官も「今日は当たっていましたね」と認めた。

もともとシュートストップには定評があった中で、大人しい性格が災いしていた部分もあったというが、この勝利は自信になる。「今日は自分にとってすごく良い経験になった。これからもしっかり練習からやっていきたい」と、本人にとっても良いきっかけとなったようだ。

自信を力に変えて――。伝統校・浦和西の守護神となっていくべく、さらなる成長を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口青陵 1(4PK5)1 浦和西