「相手の流れをシャットアウトできた」GK牧之瀬晧太が唯一の決定機もしのいで劇的勝利を呼び込む
アディショナルタイム2分に劇的決勝弾が決まり、昌平が初のベスト8に進出した。今日も選手権における浦和駒場スタジアムの最多入場者数を更新する15,820人が集まり、熱気漂う中での一戦となった。
昌平の守護神・GK牧之瀬晧太は「多くの人に見てもらえることは嬉しいこと。昨日の試合も多くの人が来てくれていたので、緊張をしましたが、今日は始めから平常心で出来ていました。チーム全体として学校で日頃練習をしているプレーができていたと思います」と大観衆を歓迎した。
その中での試合は、昨日の興國に続いてテクニカルな國學院久我山を相手に、昌平が今日もパスワークを封じて主導権を握った。後半開始から怒涛のラッシュを仕掛けて何度も決定機を演出。11分には小見洋太が反転から右足を振りぬき見事なシュートを放つもクロスバーに直撃して決めきることができず、幾度も決定機を作り出したが、なかなかゴールを割ることができなかった。
嫌な雰囲気が流れる中で、後半15分を過ぎた頃から「連日の連戦の影響からか疲れが出た所で、オープンになってしまった」と藤島崇之監督も試合後に振り返った通り、徐々に國學院久我山ペースに。すると後半21分に國學院久我山に唯一だったといえるビックチャンスが訪れた。左からのクロスを中央で背負って受けた18番清井大輔が反転してそのままシュート。しかしこのシュートを牧之瀬が横跳びでセーブをして事なきを得た。昌平にとってはエアポケットのようなピンチを守りきれたことがその後の劇的シーンを呼び込んだともいえる。
牧之瀬は「相手FW(18番清井大輔選手)に背負われたので、怖い部分はありましたが、柳澤がコースも切ってくれていたので、最終的にしっかりと対応ができました。あそこで失点をしていたらあのままゲームは流れていたと思うので、あそこで相手の流れをシャットアウトできたのは良かったです」と振り返った。
「今日は押し込まれることも多かったですが、フィールドのみんなが最後まで粘り強く守ってくれてシュートを打たせるまではいかせなかった。失点ゼロで抑えられたことが勝因。最後までゼロでこれたからこその1-0の結果だったと思う。県予選を通じてもここまで苦しい試合はなかったので、PKも覚悟をしていましたが、最後に篠田が決めてくれて良かったです」と笑顔で、2試合連続の完封勝利のディフェンス陣を誇った。
昌平初のベスト8の対戦相手は、王者・青森山田に決まった。Jクラブも破り高円宮杯も制した最強チームを相手に牧之瀬を中心としたディフェンス陣がどこまで踏ん張れるかも勝負を分けるポイントになるだろう。青森山田を相手に、これまで積み上げてきた経験を力に昌平の力を見せてほしい。
椛沢佑一(取材・文)