憧れの選手権で輝きを放った須藤直輝。対決が注目された興國10番も「スーパー」と称賛
憧れの舞台で昌平の10番が輝きを放った。
MF須藤直輝にとって選手権は小さい頃から夢見た舞台。「入場する前にここに立った時から少し感動したというか、やっぱり憧れの舞台だったので、気持ちは全然違いましたね」という。
プリンス参入戦は怪我を考慮して短い出場期間だった中で「しっかりとコンディションを整えて、いつでもスタメンで出られる準備をしてきた」というエースは前半から果敢なドリブル突破でチームに勢いを生むと23分に決定機。MF小川優介の縦パスをFW小見洋太がスルーすると、抜け出した須藤は右足でニアを狙ったが、ここは相手キーパーのビッグセーブに防がれた。
田川はJも注目する逸材キーパー。「あれも普通のキーパーなら入ったんじゃないかなと思ったんですけど、やっぱり上手いなとあそこで再確認しました」。それでもこれが須藤の心に火をつけた。「プロの練習に行っているというのは聞いていた。そいつから点を決めたら自分もプロに近づけるんじゃないかというのは、みんなそういう野心は持っていたと思います」。
するとスコアが動いたのは後半6分。小川が右サイドからカットインを図る中で「優介が持った時に自分の方に溢れてくるんじゃないかというのは常に狙っていました」。ボールの溢れにいち早く反応して入れ替わるようにして前へ。そこから先のことはあまり覚えていないというが、「やっぱりゴールを取ることが自分の役目。自分がチームを勝たせなきゃいけない気持ちは誰よりもある。その気持ちがゴールに繋がったんだと思います」。右足シュートは一度ディフェンスに当たったが、リバウンドを左足のスライディングシュートで泥臭く突き刺した。
夢見た舞台で浴びた大歓声。「本当にいままでで一番嬉しいというか、やっぱりずっと夢見た舞台だったのでゴールを決められたことは素直に嬉しかった。地元でたくさんの人が応援に来てくれるというのは聞いていたので、その人たちに恩が返せたっていうのが本当に嬉しかったです」。ゴールが決まると一目散に応援席に駆け出してガッツポーズ、笑顔の花を咲かせた。
その後も須藤を中心に攻め続けた昌平は後半11分、ディフェンスの連携ミスをついたMF鎌田大夢が追加点。守備面でも最後までしっかりと走ってチームを助け、勝利に大きく貢献した。
試合後にはU-17日本代表候補合宿でともにプレーし、同じくトップ下、ともに所属チームで2年生10番を務めるなど、共通点も多く、注目のマッチアップとなったMF樺山諒乃介に歩み寄り抱擁を交わした。相手エースからは「やっぱりお前、スーパーだな」と言われたそう。お互い2年生ということもあり「来年絶対にここでやろうな」と、選手権での再会を誓ったという。
試合を決定づけた須藤だが、まだまだだとも感じている。「(今日の点数は)60点くらい。もうちょっとゴールに関われたというのと、1点じゃ足りないというのもある。もっと味方を使いながらも、自分で行ける選手でなきゃいけない」。目指すところは日本一で、そのチームを勝利に導くことができる選手。目標は高いからこそ、ここで満足しているわけにはいかない。
3回戦の相手は対戦を熱望していた國學院久我山(東京B)に決まった。「ずっとやりたいなと思っていて、8−0で勝った開幕戦ではやっぱりうまさが見えましたし、自分たちとちょっと似ているところがある。興國と同様に自分たちと似ているサッカーをしているところには負けたくない。上手さ対決の第2弾ですね」と須藤。「上手さ」の土俵では「負けられない」。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 2-0 興國
0(前半)0
2(後半)0