全国高校サッカー選手権埼玉県大会2回戦 細田学園 vs 浦和

第98回全国高校サッカー選手権埼玉県大会2回戦(20日、立教新座会場)。シード校の細田学園高校は浦和高校の猛攻に遭いながらも2ー0で勝利し、2年連続のベスト16入りを決めた。

ゲームは早々に動いた。細田学園は前半8分、MF金子弘輝のロングボールをフィジカルの高いFW斎藤真が確実に落とし、MF板橋健太が右足をダイレクトに振り抜いてネットを揺らした。

その後も細田学園はショートパスを繋ぎながら優勢にゲームを展開。前半は8割強といった割合で縦縞のユニフォームがボールを握ったが、「相手もしっかりと我慢して対応してきた」(米野)ことや「最後の質」(板橋)の部分を欠き、追加点を奪うまでには至らなかった。

すると後半に入り浦和はギアアップ。前線からのプレッシャーの強度を一段階上げたことで試合の形成は一気に逆転する。GK佐藤優太の好守もアタックを後押しした。後半30分にはこの試合最大のチャンス。フリーキックのこぼれ球をMF稲垣勇太が収め、裏に抜け出したDF斎藤友仁がフリーで左足を振り抜いたがこれは枠を捉えることができず、思わず頭を抱えた。

後半は押し込まれる時間が増えた細田学園だが、ここをディフェンスラインを中心にしっかりと0で耐えると、35分についに追加点。相手のクリアボールを拾った板橋が中央に切れ込むと、ラストパスを受けたMF安藝貴典は「シュートには自信があった。もう打った瞬間に手ごたえがあったので入ったと思いました」と右足を一閃し、待ちに待った2点目で勝負を決めた。

細田学園が2年連続の16強。全国を知る指揮官のもとで着実な成長見せる西部の新勢力

細田学園は昨年に続き、2年連続のベスト16入りだ。

2016年から学校の強化部に指定。現役時代は市立船橋で高円宮杯全日本ユース優勝、全国選手権に出場した経歴を持ち、京都橘でコーチを務めた上田健爾監督のもと強化を進めてきた。

今年は学校が本格強化を始めたこと、監督がいることを知って入学してきた代。DF下京士郎は「上田監督に「ここに入ったら全国に連れていく。だから入るからには覚悟してほしい」と言われて、それに感化されてここで全国を目指したいと思いました」と入学した理由を話す。

そんな選手に指揮官も自らの経験を熱く伝授。「やっぱり選手が判断する、ゲームを読むというところを一番念頭に置いて、選手の個性、武器を生かす形でやりたいなと思っています」。

成果は着実に現れ始めている。年を追うごとにカテゴリを上げていき、今年は西部1部で優勝し来季の県リーグ昇格を決めた。また今夏のインターハイではチームとして初の県8強入り。準々決勝では同大会準優勝の聖望学園を最後まで苦しめた。板橋は「今年はどんどん成長している年」と語り、積み上げてきた「パスを繋ぎながら攻めて勝つ」スタイルに自信を見せる。

次戦は選手権では初の8強入りを懸けた成徳深谷戦。主将の米野就人は「県1部ですし、パワーもあって強いチームだと思うんですけど、自分たちのサッカーをいつも通りして我慢強く戦うこと。しっかりと相手を見て、なるべく自分たちがボールを持って、攻めて勝つっていうのを貫いていきたい」と意気込み。得意の攻撃スタイルでトーナメントの台風の目となる。

石黒登(取材・文)

試合結果

細田学園 2-0 浦和

1(前半)0
1(後半)0