全国高校サッカー選手権埼玉県大会準々決勝 細田学園 vs 聖望学園

第98回全国高校サッカー選手権埼玉県大会・準々決勝。インターハイ準優勝の聖望学園は初の8強入りで勢いに乗る細田学園を2ー1で振り切った。聖望学園は選手権初のベスト4進出。

今季両雄は3度対戦。いずれも聖望学園が勝利しているが、うち2戦は1点差ゲーム(関東予選、インターハイ予選ともに1ー0)となっており、今回もやはり1点を争う展開となった。

まず仕掛けたのは聖望学園だ。序盤から高い位置でプレスをかけて前でプレーすると前半4分、MF矢島翔の浮き球のパスをFW塚田悠太郎が左足ダイレクトボレーで突き刺し、先制した。

一方、早々に失点した細田学園だが、慌てずに自分たちの戦いを貫いていくと形勢が逆転する。キーパーを含めて無理に蹴りださずに後ろから丁寧にゲームメイク。ピッチ幅を大きく使ってギャップを作り、機を見てMF米野就人やMF細島大空がキックでサイドの裏に起点を作って相手を押し込む。すると前半34分、ゴール前の混戦からFW斎藤真が押し込んで同点とした。

後半も細田学園が多くの時間帯でボールを握りながらゲームを展開。27分には途中出場のMF山本翼のシュートが枠を捉えるも、ここは聖望学園GK中沢勇斗が間一髪で掻き出してセーブ。直後、コーナーキックのこぼれ球をFW板橋健太が狙ったが、これはわずかに枠を外れた。

苦しい時間の続いた聖望学園だが、ここをしのぐと終了間際のワンチャンスを生かした。後半35分、カウンターからMF石川祐希が左サイドに展開すると、途中出場のMF柑子木優杏がドリブルを開始。「1対1の状況を作ってくれたので中に切り込もうと思った。自分の持ち味はドリブル。そこは自信を持ってやりました」と柑子木。思いきってカットインを仕掛けるとこれが相手ディフェンスのファールを誘ってPKとなり、塚田がキーパーの逆をついて右隅に決めて勝ち越し。終盤も相手の猛攻を受けた中でディフェンス陣が最後まで身体を張って守り抜いた。

最後に勝敗を分けたのは「ソロの力」 聖望学園FW塚田悠太郎が豪快ボレー含む2得点

「最後はソロの力かなと思っていた。悠太郎が2点取れたというのが、このゲーム最大の勝因じゃないかなと思います」と山本昌輝監督。最後の勝敗を分けたのは「個」の部分だった。

センターFWとして出場した塚田悠太郎は4分、左サイドから浮き球のパスが入ると「シュートはどこからでも狙おうというのは常に意識している。昨日の夜にスーパーボレー集みたいなのを見てきて、そんな感じでちょうどボールが転がったので打っちゃおうと思って。うまく入って良かったです」。今大会初得点は左足でゴール隅に突き刺す豪快ボレー。その後同点とされたが、後半35分に獲得したPKを落ち着いてキーパーの飛んだ逆に流し込んで試合を決めた。

2ゴールでチームを勝利に導いたエースだが、「今日はもう全然でした。点以外では全く絡めてないし、守備でもあんまり貢献できなかった。そのあたりは課題が見つかりました」。

インターハイ決勝では西武台に敗戦。「もう一段階レベルアップして選手権では自分が試合を決定づけられる選手になりたい」と、より決定的なプレーヤーになることを誓っていた。この夏はウイングからセンターFWにポジションを変え「一番ゴールに近い位置なのでやっぱりゴールはこだわってきました」。また「今日の試合は手応えはないですけど、夏のゲームと比べるとボールに絡む回数も多くなったし、流動性が出てきているんじゃないかなと思います」。

次は大一番の昌平戦。「自分たちらしいサッカーを貫きたい」とした塚田だが、同時に「最終的にはどんな試合内容でも勝てればいい」とも語った。競った展開となれば最後に勝負を分けるのはソロの力。そういった場面になれば独力で打開しゴールに突き刺す準備はできている。

石黒登(取材・文)

試合結果

細田学園 1-2 聖望学園

1(前半)1
0(後半)1