関東高校サッカー Aグループ1回戦 日大藤沢 vs 武南
関東大会1回戦。各県1位によるAグループの戦いに臨んだ武南高校は日大藤沢高校(神奈川)に対し、後半アディショナルタイムのゴールで3ー3と追いついたが、PK戦の末に敗れた。
先制したのは武南だった。前半9分、自陣からのリスタートから左サイドバックの安野天士にサイドチェンジが入るとFW大谷涼太は相手ディフェンスが身を翻した一瞬の隙を見逃さず、裏に抜け出し、キーパーも飛び出してくる中でクロスを頭でプッシュしてネットを揺らす。
早々に試合を動かした武南だったが、「中盤で簡単なミスがすごく多かった。ロストすることを恐れて前に早く運ぼうという意識が強くなってしまった」(内野慎一郎監督)。なかなか自分たちのサッカーを展開できずにいると、前半20分、37分とゴールを決められ逆転を許した。
それでも武南は後半、前半の課題を修正。敵陣でのプレー時間を増やしていくと8分、DF相山祐人、MF小宮陽貴で右サイドを崩し、小宮の高速クロスに走り込んだMF青野翔太がドンピシャのヘディングで合わせて同点とした。さらにハーフタイム明けからピッチに立ったMF矢地柊斗が左サイドで躍動。相手のキーポイントであるサイドで優位性を取り、押し込んでいく。
しかし得点に結び付けられずにいると、後半27分にひとつのミスを突かれて失点。その後は追う武南が猛攻を仕掛けるも刻一刻と時間が経過していく中で試合はアディショナルタイムに突入したが終了間際の43分、献身的なプレーを見せていた矢地がフリーキック、さらにそこからPKを獲得。これをMF清水光太が冷静に右足で流し込んで土壇場で再び同点に追いついた。
延長後半には前線で大谷が相手の横パスをカット、そこから狙ったがキーパーに掻き出されてゴールとはならず。PK戦では全員が決めた日大藤沢に対し、1、3本目を外して力尽きた。
2度のビハインドを追いつくも悔しい敗戦 各々が勝敗分けた細部にこだわり成長を目指す
後半は武南らしい攻撃サッカーも見られたが、逆転に持っていく体力は残されていなかった。
同点弾の青野は「もっとエリアに入る回数を増やしていきたかったんですけど、足が攣ってしまったので本当にチームに申し訳ない」と反省。延長後半にパスカットからチャンスを迎えた大谷は「あそこでもう少し体力があって前に運べたら、勝負をつけられたのかなというのは悔しいところ」とした。また、前半はコミュニケーションが足りていなかったことも悔やんだ。
内野監督も「80分でどう戦うのか、勝負をかけたい時に落ちてしまうというのはまだ経験も練習も足りていないということ」「この5分は頑張るとか、PKも最後きちっと蹴れるか、蹴れないかは最終的に大切になってくる」と、試合運びや細部の徹底を今後に向けた課題に挙げた。
久々の県外公式トーナメントは志なかばの1回戦敗退に終わったが、それでも2度のビハインドを追いつき、延長戦も含めゲームの中で負けなかったのはチームにとって大きな経験だ。今後はさらに勝敗を分けた細部にひとりひとりがこだわって成長に繋げていくことができるか。
「練習から常に試合を意識して、試合を練習通りできるようにやっていきたい」とした青野は「この悔しさをバネにインハイと選手権は全国に行って、上位を取るしかないと思っている。日大藤沢と当たる機会があればその時は必ず勝ちたい」と成長した先に全国での再戦を希望した。
石黒登(取材・文)
試合結果
日大藤沢 3(4PK2)3 武南
2(前半)1
1(後半)2
0(延長前半)0
0(延長後半)0
4(PK)2