第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県1次予選会 代表決定戦 獨協埼玉 vs 寄居城北

選手権1次予選会・代表決定戦。獨協埼玉高校と寄居城北高校の一戦は、スコアレスで迎えた後半11分に獨協埼玉がセットプレーから決勝点。1ー0で勝利し、2次予選進出を決めた。

序盤からボールを持った獨協埼玉だが、ブロックを敷いてきた相手に対しサイドから攻撃を試みるもなかなか思うように崩すことができず、フィニッシュまで持っていけない展開が続く。前半33分にはDF富岡創紀の左クロスにFW鈴木一朗が合わせたが、シュートは枠を外れた。

対する寄居城北はまずは守備から入りながら、スピードのあるFW黒澤宙輝らがカウンターから攻撃の形を作ろうとするが、獨協埼玉も主将のDF太田佳佑を中心に守ってシュートシーンは作らせない。前半は両チームともに決定打を欠き、スコアレスで折り返すこととなった。

後半は立ち上がりから攻守が素早く入れ替わる展開。獨協埼玉は5分、MF加藤拓貢のフリーキックが枠を捉えたが、寄居城北GK鈴木紳之介が横っ飛びで弾き出してゴールとはならず。

それでも試合が動いたのは後半11分。獨協埼玉は左コーナーを獲得すると、加藤のキックはディフェンスに弾かれるも、こぼれ球をエリア外で構えていたMF仲村悠希が右足でダイレクトボレー。うまく抑えられたシュートがネットに突き刺さり、獨協埼玉がついに均衡を破った。

以降も獨協埼玉は苦しい時間帯でFW北川晴太郎が前線で運動量高く動いて攻撃を牽引。スコアは動かなかったものの1ー0で勝利し、3年連続の選手権2次トーナメントに駒を進めた。

それでもこの日は前後半併せてシュート17本。フィニッシュで終われなかった場面もあり、獨協埼玉・曽我部農生監督は「決めるべきところで決められず難しいゲームだった。2次予選に向けてやっぱりもっと力をつけないと太刀打ちできないかなというのが率直な感想」と述べ、主将の太田も「改善点の見つかった試合」と選手権に向けて攻撃の改善を課題に挙げた。

選手権2次予選はこれで3年連続の出場だが、過去2年はともに初戦で涙を呑んできた。太田は「先輩たちはインターハイで県大会の2回戦に行っているけど、自分たちはインハイも1回戦で負けて残すは選手権だけ。ここで引退するメンバーたちの想いも背負って、自分たちらしいサッカーで県でも自分たちの力を見せて、スタジアムを目指したい」と意気込みを語った。

目標は「スタジアム=ベスト8」。まずは鬼門となっている1回戦を突破して勢いに乗る。

決意の坊主頭 最後の選手権に挑む北川「県大会では努力してきたことを点で表したい」

「いままで努力してきたのにここで走らずに妥協してどうするんだ!」。そう自らを奮い立たせていたという北川。苦しい時間帯でも前線で身体を張って走り回り、チームを牽引した。

直前の練習試合では川口市立高校に0ー5と大敗。「その時にみんなでいろいろと話し合った。厳しい意見も出たりしたんですけど、それが逆にチームをひとつにして、レギュラーもサブも応援もやるしかないとチーム一丸になれた」という。また、その際に覚悟のひとつとして示したのが坊主頭。「これは自分の中でなんですが、坊主にして負けるとか、妥協するだとか、そんなのは坊主にした意味がない」。最後まで妥協なしの全力プレーで勝利に貢献した。

選手権は1年からピッチに立つが、1年次、立教新座高校に2ー4で敗れ、意識が変わった。普段の生活から変えるためにお菓子をやめ、炭酸をやめ、良いと言われるオレンジジュースを摂るようになった。チーム内でも食事の面では一番ストイックにやってきた自負はある。

「ここまで努力してきた結果を県大会で出したい。今日は自分自身としては点が取れなかったので、県大会ではいままで努力してきたことを点という形で表したいと思っています」と北川。自らを変えた選手権で3年間の集大成をぶつける。

決勝ボレー弾の2年生MF仲村 「俺がこのチームをスタジアムまで行かせる」

攻めながらも得点に結びつかない中で決勝弾は後半11分。コーナーキックのこぼれ球をコンパクトに、鋭く振り抜いた。ゴールを見届けるや「やっぱりみんなと嬉しさを共有したかったし、もう一目散に駆け込んでやりました」と、応援席に駆けて仲間たちからの祝福を受けた。

2年生となった今年はレギュラーに定着。「高1の時は試合中もすぐに諦めてしまったりするところがあった。でも2年生で試合に出るようになって、出られない3年生の気持ちの重みを感じたりしてやるしかないという気持ちになりました」。インターハイの前からはサイドからボランチにポジションを変えたが、常にシュートを狙っていく攻撃的姿勢は仲村の真骨頂だ。

選手権に向けては「俺がこのチームをスタジアムまで行かせられるようなプレーをしていきたい。目標はベスト8以上。その上で全国も目指せたらいいと思っています」と意気込んだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

獨協埼玉 1-0 寄居城北

0(前半)0
1(後半)0