平成28年度埼玉県高校サッカー新人大会 昌平 vs 浦和東
4日(土)、県内4箇所を舞台に新人大会・県大会が開幕。昌平高校グラウンドでも2試合が行われ、第1戦では昨年高校総体3位で新人戦連覇を目指す昌平高校と浦和東高校が対戦し、昌平が2ー0で勝利した。
昨年越えを狙うチームが力強い一歩を踏み出した。昌平はキックオフ直後のボールをいきなりチャンスに繋げると、その後も後ろからボールを回しながら、最終ラインの関根浩平、ボランチの山下勇希が起点となって、エースの佐相壱明、1年生10番の渋屋航平らがシュートまで持ち込んでいく。
試合が落ち着き始めた20分以降は浦和東も攻め込むシーンを作っていくが、「今日は取られた瞬間の切り替えを徹底してできた」と石井優輝主将。さらに「こういう試合こそ後ろが集中しないとダメだと思った」と語る守護神・緑川光希が最後尾から鼓舞し、悪い流れにいきそうなチームをまとめる。
ゲームが動いたのは前半終了間際だった。38分、ワンツーで飛び出した原田虹輝がシュート。ボールはクロスバーを直撃したが、跳ね返りを佐相が決めて先制点。試合はこのまま昌平1点リードでハーフタイムを迎える。
後半もゲームを優位に進めたのは昌平。3分に佐相がゴール右から強烈なシュート。これは浦和東GK高草木天平がはじき出したが、その1分後には吉田航の右クロスに合わせた原田のボレーがバーを強襲する。その後も11分、27分と昌平が決定機を迎えるが、浦和東も身体を投げ出してそれを防ぐ。
すると守備陣の奮闘に応えるように、浦和東にこの試合最大の決定機が。後半31分、左サイド笹沼龍也のクロスを小川翼が頭で折り返すと、入ったばかりの石塚陸斗がシュート。しかしこれはクロスバーの上を超えてしまう。
直後、昌平は追加点が生まれた。後半34分、中盤でボールを持った山下がゴールへ向けてドリブルを開始。「脇に2人味方がいて、自分でかわして打とうかと思ったが、ディフェンスの片方が食いついてきたので、確実性を求めて味方にパスした」と山下。そのパスを受けた原田が落ち着いて決めた。
試合はそのままタイムアップ。「今年は日本一も含めて、すべてのタイトルを取りにいく。そのスタート、新チームのスタートとして昨年に続き無失点優勝を狙う」(緑川)昌平が2ー0で初戦を突破した。
「今年初の公式戦でどうなるかなというところはあった」と昌平・藤島崇之監督。「今日は前半頭と後半も最初のところのチャンスを決めきれずに厳しい状況もあったが、ディフェンスラインの安心感という部分に関しては良かった」と失点ゼロに抑えた守備陣を称えた。
昨年末、プリンス関東昇格戦を終えて「主導権を持ってやれる状況から、相手に分析され、やりたいことに制限がかけられるようになったのはステージアップ」と1年を振り返っていた指揮官。対策されるであろう今年も、ボールを失わない昌平スタイルは継続していく。
その上で新たなカラーとして期待しているのが「力強さ」の部分。「まだフィットしていないが、グッと前に出ていく力はある」という8番の伊藤雄教はこれまでの昌平にいなかったタイプの選手であり、このまま成長していけばチームにとって新たな武器となりそうだ。
また、新チームの舵取り役を任された山下は「自分も点を決められるようなボランチになっていきたい」と抱負。新人大会からは新たに、昨年、針谷岳晃(ジュビロ磐田に入団)がつけていた7番を背負う。プレッシャーも感じているというが、「自分は自分のスタイル。見習うところは見習って、自分のスタイルを作ってやっていきたい」と意気込みを語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 2-0 浦和東
1(前半)0
1(後半)0