平成30年度高校総体 女子サッカー埼玉県予選 決勝 花咲徳栄 vs 南稜
新人戦に続き花咲徳栄高校と南稜高校のカードとなった決勝戦。試合はFW前田悠莉、FW新井優紀の2ゴールずつを含む大量7得点を奪った花咲徳栄が7ー0で勝利し、大会連覇で今季2冠目を達成した。優勝した花咲徳栄は6月2日より群馬県で行われる関東大会に出場する。
序盤から勢いを持って前に出たのは花咲徳栄。開始早々にFW加瀬田彩華が惜しい場面を作ると前半4分、左からのセンタリングのこぼれ球を前田が詰めて先制する。さらに前田はその5分後には右サイドをドリブルでえぐるとトゥーキックでキーパーの脇を抜いて2点目とした。
その後も花咲徳栄が次々とチャンスを作る。前半10分のMF渡邉莉沙子のシュートは南稜GK武田あすみがセーブしたが、その6分後にはクロスが抜けたところを加瀬田が粘ってセカンドボールをMF大沼歩加がエリア手前から狙っていく。シュートは惜しくもクロスバーを叩いた。
なんとか前半のうちに1点を返しておきたい南稜は33分に決定機。MF谷真実が中盤でボールを奪取するとMF田中麻美が右サイドを抜け出したがシュートは枠を捉えることができない。
花咲徳栄は後半、前田を下げて新井を投入。2分には渡邉の右コーナーキックを新井が競ったボールを1年生MF佐藤美莉がヘッドで押し込んだ。早々に得点に絡んだ新井はその直後に今度は自らの右足でネットを揺らす。後半8分のフリーキックの場面で「リスタートを早くすれば相手の背後をつけるんじゃないかと思ってキッカーの大沼を見たら目があった」。完璧なアイコンタクトで相手の裏に抜け出すと、これをダイレクトで決めてリードを4点に広げた。
さらに得点は続く。後半14分には大沼がドリブルでエリア内に入るとキーパーとの1対1を冷静にかわして5ー0。22分にはDF石塚七海のロングキックがゴール前でハイバウンドして直接吸い込まれた。32分には再び大沼&新井のコンビで得点。大沼のコーナーキックに「自分らの中ですごい得意な形」と息もぴったりな新井がドンピシャのヘディングを叩き込んだ。7ー0と大勝した花咲徳栄が連覇を飾るとともにインターハイ3枠をかけた関東大会出場を決めた。
昨年は初戦で選手権覇者の十文字を破りながら、あと一歩のところでインターハイを逃した。「満足してしまった部分もあったと思う」(大沼)「自分らの中で目標を間違えてしまっていたところがあった」(前田)。同じ轍は2度と踏まない。「自分らの代はまだインターハイに出たことがない。やっぱりその舞台に立ちたいので相手がどこでも絶対に勝って3位以内で全国を決めたいです」と新井。気持ちを切り替えて3年ぶりのインターハイ出場を狙う。
大舞台で2ゴールのFW前田「チームを引っ張っていける存在に」
前半早々にチームを勢いづける2ゴールを決めた前田。今予選は武器のチェイシングを買われてスタメン入り。準決勝までは得点できずに苦しんだが、決勝の大舞台で大勝に貢献した。
2年次は怪我や気持ちの弱さもあり、なかなかポジション奪取には至らず。「ずっと(新井)優紀が羨ましいというか目標で。良い目標がチームメイトにいるのでいろいろ見て学んだ。(加瀬田)彩華も得点力がすごくある。チームを引っ張ってもらっているので、やっぱり自分もその引っ張っていく側に入れるように頑張りたいです」と最終学年としての自覚を見せた。
この日は前田と交代で後半から出場した新井も2得点。準々決勝の山村国際戦でも後半からハットトリックを達成した新井が「悠莉はすごいハードワークできて、前に走れてそこはすごい尊敬しているんですけど自分の方が絶対に点が取れる」とアピールすれば、前田も「前からディフェンスを追う力、ボールを追う力は自分がチームで一番できないといけない部分だと思っているので負けられないです」。同級生の良きライバル2人が花咲徳栄の攻撃を加速させる。
石黒登(取材・文)
試合結果
花咲徳栄 7-0 南稜
2(前半)0
5(後半)0