[S1]“負けない”成徳深谷が悲願のS1初制覇! 勝負強さ光る埼玉の新王者がプリンス参入戦へ

“負けない”成徳深谷が悲願のS1リーグ初制覇!高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ2025埼玉1部リーグ(S1リーグ)は7日に最終節となる第18節を行い、首位の成徳深谷は10位・浦和南と激突。FW関根大和(3年)のPK弾で2-1と競り勝ち、県1部リーグ初優勝を飾った。

「やっぱり選手権が終わってから、落ちた部分もあったんですけど、チームとしてもう一回話して、「1年間で埼玉で一番強かったことを証明する」ことを目標としてできた。監督やコーチ、成徳のOBたちのためにも、やっぱり優勝っていうのを形として残したかったですし、プリンス昇格という目標を決めて、練習も良い雰囲気でできたと思います」(成徳深谷・朝烏真大主将)

一度は歩みが止まりそうになった時もある。それでも、もう一度目標を再設定し、成徳深谷が創部29年目にしてS1リーグ初制覇。11勝5分2敗の堂々の成績で県リーグ勢の頂点に立った。

成徳深谷はすでに前節、プリンスリーグ関東参入戦進出が決定。引き分け以上で自力での優勝を手繰り寄せられる状況だった。最終節もDF佐々木亮、FW川上稜介、MF白川成夢(ともに3年)が怪我で不在という中、CBには今井葵大(3年)、左MFに宮﨑颯太(3年)がスタメン出場。選手権後から10番をつける関根と長身のFW頓宮琥太郎(3年)が2トップを組んだ。

一方、逆転残留に向け、勝利が絶対条件の浦和南は10番の岡田泰理(3年)が3バックの右に入る3-4-3の布陣。序盤からMF大塚逸平(3年)らがサイドを仕掛け、そこで得たセットプレーからゴールに迫る。3分、MF森田開成(3年)主将の左CKをMF八木航汰(3年)が折り返し、大塚がシュート。14分にはFKのこぼれ球をMF坂斉佑太(3年)が狙っていく。

成徳深谷は立ち上がり、相手の圧力を受ける部分もあったが、ディフェンスリーダーのCB横山大平(3年)や今井が強さを見せて跳ね返し、セカンドボールを回収しながら徐々にペースを取り戻す。浦和南は31分、MF沼尻爽汰(3年)が右サイドを抉ってクロスでチャンスメイク。成徳深谷は43分、CKからの混戦のこぼれ球を関根が狙ったシュートがクロスバーを強襲した。

後半、成徳深谷はDF菅井陽斗(3年)やMF鯨井遥翔(3年)といった突破力のある選手がドリブルでサイドを抉り、そこで得たコーナーキックやロングスローからゴールににじり寄る。その中で15分、右CKを獲得するとDF山谷康太朗(3年)のインスイングのキックから188cmの長身を誇る頓宮がヘディングで仕留めた。頓宮は最終節で嬉しいリーグ戦初ゴールとなった。

一方、負けが許されない浦和南も失点してもブレずに、自分たちのスタイルでトライ。32分、森田の右CKをCB嶋田翼(3年)がヘディングで決めて同点に追いつき、反撃の機運を作る。

それでも成徳深谷は終盤の43分、ゴールエリア内で収めた関根が倒されてペナルティキックを獲得すると、これを自らゴール中央に蹴り込んで勝ち越し。これが決勝点となり、成徳深谷が2-1で勝利した。今年はセカンドチームも無敗でS3リーグを制覇。ダブルでの戴冠となった。

為谷洋介監督は初優勝の要因に「負けなかったこと」を挙げる。今季のリーグ戦での負けは前期の正智深谷戦、後期の武南戦の2敗のみ。また、「負けそうだった試合をドローにしたのも大きかった」。前期の浦和学院戦、後期の正智深谷戦は押し込まれる中でそれを凌ぎ切り、後期の昌平戦は後半ATに追いついてドローに追いついた、この3戦をターニングポイントに挙げた。

チームとしてはGK本田一朗(3年)、横山、朝烏のブレないセンターラインが1年を通して大崩れせず。18試合15失点はリーグ最少。また、守備だけでなく、攻撃でもセットプレーなどで31得点(リーグ2位)を重ねた。朝烏主将は「守備のところで失点数が少なかったり、チームとして個性豊かだったので、そこの個性も生かしながら得点できた」と今年の勝負強さを語った。

S1チャンピオンとして、次はもう一つの目標であるプリンス関東参入戦へ。20日の初戦では常磐(群馬)と対戦する。朝烏は「やっぱり成徳として新たなチャレンジでもあると思うので、後輩たちに最後残せるように頑張っていきたいと思います」とし、関根は「やっぱり成徳が今後強くなるためにも、ここが一番大事だと思う。(卒業した)先輩とかの想いを背負って戦わなきゃと思います」と意気込み。チームとしての成長曲線をさらに加速させるために、一戦必勝で臨む。

一方、浦和南は10位で降格が決定。昨年の市立浦和に続き、これでS1リーグから公立の名前が消える形となった。今年は新人大会で4強に入ったが、リーグ戦は2勝4分12敗と苦しんだ。来年はS2リーグから再出発し、1年での県1部復帰、そしてトーナメントでの躍進を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

成徳深谷 2-1 浦和南
0(前半)0
2(後半)1