[S1]武南が成熟を示す3発快勝!攻守の切り替えと前進力で首位・成徳深谷を押し切り、今季3度目の対戦でついにリベンジ
11月30日、高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ2025埼玉1部リーグ(S1リーグ)は第17節の2日目が行われ、首位の成徳深谷と3位・武南の上位勢対決は武南が3-1で勝利を収めた。

両チームは今季、前期リーグ戦、関東大会予選の決勝で激突し、成徳深谷がいずれも勝利していた。武南MF小山一絆(2年)は「(今季は2度負けていて、)絶対にリベンジしてやりたいっていう気持ちで、今日は臨んでいました」という中で、今季最後の対戦でしっかりとリベンジした。
武南はGK金昶銖(2年)に代わりGK笠井達喜(3年)が出場した以外は選手権決勝と同じ布陣。押し込んで進めようとする成徳深谷に対し、ディフェンスラインが弾いたボールを3列目が回収。昌平との決勝で一皮剥けた感のある小山が常に前の選択肢を持ちながら攻撃を牽引した。
9分には小山を起点にMF渡辺悠(2年)と繋ぎ、左SBの八百川尚輝(2年)が追い越す動き。クロスにFW藤森隼叶(3年)が飛び込んでチャンスを作る。これはセーブされたが、10分、MF関口海龍(3年)の右クロスを渡辺がスルーし、藤森が右足シュートで破って先制した。
一方、前日に2位・西武台Ⅱが敗れたことで、勝てば優勝が決まる成徳深谷はFW川上稜介、DF佐々木亮(ともに3年)が怪我でメンバー外。普段の4-4-2から4-2-3-1にして臨んだ中でなかなかペースを掴めなかったが、この日も特徴のセットプレーからゴールに迫る。
27分、MF松尾泰希(2年)の右CKに空中戦に絶対の強さを持つDF横山大平(3年)のヘディングが枠を捉えたが、ゴールカバーに入ったDF田中理月(3年)が頭でクリア。36分には再びセットプレーから横山のヘディングが強襲したが、ここは笠井がファインセーブで防いだ。
武南は前期ロングスローからの混戦で失点。内野慎一郎監督は「前期はやっぱり失点が止まらなかった中で、前半1-0でそのまま帰ってきたっていうのは大きかったと思います」と振り返る。
成徳深谷はHT明けから10番FW関根大和(3年)を投入。後半3分にはMF鯨井遥翔(3年)がエリア内に切り込んで決定機を迎えたが、笠井がここも1対1を阻止した。すると武南は6分、藤森が相手DFを背負い、3列目から飛び出した小山がゴール右に沈めて追加点とした。
さらに武南は15分、渡辺のパスから10番MF有川達琉(3年)が沈めて3点目。成徳深谷は鯨井が強シュートで狙い、33分には右CKのこぼれ球にMF菅井陽斗(3年)が右足を一閃して1点を返したが、反撃もここまで。武南が3-1で成徳深谷に勝利し、勝ち点3を獲得した。
内野監督は試合後の選手たちを見つめながら、「本当に3年生とか、チームの雰囲気がすごい良いですよ、いま」とチームの充実ぶりを語る。すでに昇降格の懸からないラスト3戦。それでも主力を含め多くの選手が最後まで残り、「真剣にやる」という空気を自ら作り上げていたという。
3年生は有川や主将のMF平野琉斗など、大学で続ける選手も多く、この期間でも成長しようと各々がトライ。その中で「雰囲気が良いし、3年はすごい伸びましたね」と話す。だからこそ、「あと1ヶ月やりたかった。ここの練習でも、すごい波長が合ってきたシーンとかがすごくあって、これでちょっと積んで1ヶ月後どうなってたかなって」と少し悔しそうな表情も見せた。
先の選手権予選では決勝で昌平に敗れたものの、好ゲームを演じ17年ぶりの冬の全国まであと一歩まで迫った。そこに持って行くために1年間をかけて戦い方やトレーニング、雰囲気作りや自信を植え付けてきた中で「やってきたことが間違いではなかったんだなっていうことは相当自信になったと思います」と内野監督。「僕自身もっともっといけるなと思っているし、まだいけるなっていうふうには思っているので。だからもうちょっとまた進化させて、来年度に繋げていける1試合にしたいなと思います」とホームで行われる最終節の武蔵越生戦に向けて話した。
一方、優勝戦線は、西武台Ⅱがプリンス関東2部所属のトップチームが同1部昇格とはならず、成徳深谷がプリンスリーグ参入戦への権利を獲得したが、タイトルは最終節に持ち越しとなった。為谷洋介監督は「S1は3位が最高成績。プレーオフはうちが決まったんですけど、1位でやっぱり行かなきゃいけない」と初優勝を目指す、最終節の浦和南戦に向けて気を引き締めた。
石黒登(取材・文)
試合結果
成徳深谷 1-3 武南
0(前半)1
1(後半)2


