[選手権]西武文理、難敵・浦和北を延長戦で下し3回戦へ。「守備の構築」徹底し、新体制で3大会連続の県16強進出
西武文理が3大会連続の16強入り。19日、第104回全国高校サッカー選手権埼玉県予選2回戦が行われ、西武文理と浦和北が対戦。延長戦で西武文理が1-0で勝ち、3回戦進出を決めた。
2大会ぶりのベスト16進出を狙う浦和北は、バックラインで繋ぎながらギャップを作り、GK白石啓太(3年)やDF茂木陽人(3年)が斜めに刺すロングパス。そこから技巧派ドリブラーの右MF千葉礼人(3年)や左MF植田翔太(3年)の両サイドを起点にアタックを展開する。
それに対し、西武文理は「相手キーパーはキックも良いので、あんまり掛けないで、相手がサイドに蹴ってから勝負みたいな。みんなで連動して掛けに行くっていうのをチームでやっていました」とGK渡辺唯翔(1年)が言うように、狙いどころを持ちながら連動した守備を見せる。
攻撃面では10番のFW永井涼晴(3年)主将やMF宮下蓮一郎(2年)を中心に前へ出るシーンも作ったが、浦和北も茂木やDF久保田颯仁(2年)が粘り強く守り、得点は許さなかった。
浦和北は後半立ち上がりに続けて右サイドからチャンスメイク。4分、千葉のクロスにFW清水凰輔(3年)が合わせると、5分にはエリア内で千葉が相手DFを外しクロスでゴールに迫る。
西武文理も23分、MF高倉由翔(1年)のクロスを永井がスルーし宮下がシュート。浦和北は25分、右サイドで連動し、FW瀨川祐樹(3年)が触れば1点というクロスを見せる。西武文理は35分、永井のロングスローからMF武田恵輔(2年)のヘディングが惜しくも上に外れた。
36分には浦和北にこの試合最大の決定機。千葉のクロスから相手DFの裏に潜り込んだMF佐藤玲都(3年)主将がチャンスを迎えたが、GKとの1対1を決めきることができなかった。
延長戦も互いに攻める中で、西武文理のロングスローに対し、白石が積極的に前に出てハイボールを収めていた。試合は延長後半に突入。PK戦も視野に入り始める中でついにスコアが動く。5分、永井が仕掛けてペナルティキックを獲得。これを自らゴール右隅に沈めて均衡を破った。
点を決めるしかない浦和北は終盤、CBも前に出てパワープレーに出る。最後はキーパーも前に出て同点ゴールを狙ったが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。そのまま西武文理が1-0で勝利し、3回戦へ進出。西武文理は今年から西武台で長年コーチを務めた黒岩宏明監督体制となった中で関東予選、インターハイ予選に続き、今季3大会連続のベスト16進出となった。
黒岩監督は「浦和北はボールを扱う技術だったり、サッカー戦術も優れているチーム。その中で守備をしっかり構築しないとというのは予想できていた。まだまだ甘さがあるなというところはありますけど、ただ0に抑えたところは良かったと思う。相手も後半ビッグチャンスが1本あって、あれが入らなかったのが勝負の分かれ目だったと思いますけども、この子たちが頑張って積み重ねてきたものがあるから、そういうふうになっているところもあると思います」と話す。
「真面目」だという今年の代は、全員が献身的に動きながら固い守りを特徴とするチームで、関東予選ではS1の武蔵越生を0-0からのPK戦で下している。攻撃面ではなかなか流れを持って行くことができなかったが、この日も戦術的なところの約束事をしっかりと徹底しながら最後まで声を切らさずロースコアゲームに持って行き、2試合連続の1-0で勝利をものにした。
この日は1年生6人がスタメンで、3年生は永井、MF田﨑陽也の2人。全体で見ても18人と少ない代で、下級生主体のチームと見られるのも確か。それでも黒岩監督は「3年生で出ている子は少ないですけども、彼らが中心となって引っ張ってくれているのは間違いない」と話す。
決勝PK弾を決めた永井は「やっぱり3年生は人数が少なくて、1年生主体のチームなんですけど、その中でも3年生が中心となって日頃の練習からみんな意識を高くやっている。それに1、2年生がついてきてくれて、こうやって学年の差があってもみんな仲良く絆があって、良いチームだと思います」。意識の高い3年生たちに引っ張られ、1、2年生たちも高い団結力を見せる。
「関東でベスト8に入れたので、その景色は一度見ている。16を超えるっていうのがすごい大変なのは僕も、彼らもわかってはいるんですけど、まずそこまでたどり着きたいっていうのもありますし、彼らはスタジアムで戦ったことがないので、やっぱり歴史を変えるためにもそういった舞台に立たせたい」と指揮官。ベスト8進出を懸けた3回戦は総体予選4強の浦和南を下したS1の細田学園に決定。強敵だが、チーム一丸となってスタジアム進出という新しい歴史を作る。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和北 0(延長)1 西武文理
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)1