[学総]「夏に勝つのはウチだぞ」。成長見せた西武台新座中が新人戦覇者・聖望学園中との“死闘”を制し、連覇に大きく前進

26日、令和7年度学校総合体育大会の準々決勝が浦和駒場スタジアムほかで行われ、西武台新座中と聖望学園中の“私立校対決”は、西武台新座中が終了間際の劇的ゴールで1-0で勝利した。

連覇を狙う西武台新座中と新人戦覇者の聖望学園中。今大会の大一番と見られた一戦で西武台新座中が組織として繋がって勝利――。山﨑健吾監督は「聖望さんへのリスペクトは最大限持っていますし、私立中として一緒に埼玉を盛り上げているライバルでもあり、そういう相手。ただ、『夏に勝つのはウチだぞ』っていうのをもう全員の合言葉で作り上げてきたので、技術は高いし、やっぱり個も高い中で、でも組織で粘る、最後まで走る、そういったのを最大限出して勝ちきろうっていうのは徹底していたので、大変でしたけど良かったです」と白熱の試合を振り返った。

試合は前半から聖望学園中が高い技術力を発揮。キープレイヤーの10番FW嶋田圭吾(3年)が得意のドリブルで仕掛けながら、そこにMF梅木結都(3年)やMF松本悠惺(2年)が絡み、厚みのある攻撃を見せる。西武台新座中は押し込まれる展開が多かったが、「1対1では勝てないかもしれないけど、ボランチとCBで挟むとか、サイドの選手が戻ってくるとか、2人以上で常に守り続ける」ことを徹底。個で圧倒しようとする相手に組織としての守備で対抗した。

ディフェンスではCB秋間太伸(3年)が若いバックラインを牽引。「今日はあまり相手に飛び込まず、引いて守るっていうところを言われていた。最後まで諦めずにスライディングでシュートブロックに行ったり、そこで相手のチャンスを減らせたんじゃないかなと思います」。そして最後方ではこの日も守護神の岡田悠汰(3年)がプレーで、声でチームに安心感を与えていた。

「前半を0で耐えられたのも大きかったと思います。走りとか体力とか、この夏場の戦いは絶対に負けない自信があったので、彼らにも前半0で抑えれば勝率は一気に上がるよと言って送り出した。2年前が関東で、去年が全国で、やっぱり痛感したのはこの夏の戦い方。それは南浦和中の神立先生に教わった部分がたくさんありました。この暑さの中でも連戦でコンディションを落とさないための準備っていうのを、3月から長期間にかけて身体作り、体力作り、そういったものは技術と一緒にやっているので、そこには自信は彼らもあったと思います」(山﨑監督)

聖望学園中は攻め込みながらも前半なかなか決定機につけられなかったが、後半3分に嶋田がエリア内でファールを獲得。しかし、自ら蹴ったペナルティキックはわずかに右に外れてしまう。

西武台新座中は後半も出力を落とさず、常に数的有利を作りながら粘り強く守備。打たせないことを前提としつつ、打たせたシュートに対しても「めっちゃ安心感があります」(秋間)と仲間からの信頼も厚い岡田が存在感。また、ボールを奪い前に出るシーンも前半以上に作っていた。

終了が迫る中で西武台新座中は30+1分に左CKを獲得すると、MF川元太陽(3年)主将のキックに合わせたのは途中出場のMF花岡優太(2年)。「3年生がずっとここで負けたくないって言ってたので、もう決めてやろうって」。もともとは違う選手が入る予定だったという中央のスペースに入り、ヘディングでゲット。これが決勝点となり、西武台新座中が大一番を制した。

終了のホイッスルの瞬間は指揮官も特大のガッツポーズ。岡田は「自分も結構止められた場面もありましたし、周りも身体を張って、本当にこれは“死闘”といってもいいんじゃないかなと。こういったビッグカードの中でこういう戦いができたのは嬉しかったですし、良い勝負だったので、その中で守れた、やっぱり0で抑えたっていうのが一番の成果」と言って笑顔を見せる。

「新人戦地区でさっさと負けたようなチームが、2年連続新人戦チャンピオンチームに勝った。これはやっぱり勇気になりますよね。負けて終わりじゃなくて、じゃあ夏までにどこまで仕上げられるか、ここまで仕上げられるっていうのを親やスタッフにも見せられたのでそこは大きいです」。前述のように技術とともに夏場でも走り負けない力をつけて、成長を見せた勝利だった。

準決勝に向け岡田は「また同じような試合になるのかなっていうのもわかっている。中1日しかない中で何ができるか、何をすれば守れるのか、しっかり全員で共通認識を持たないといけないですし、そういうところをもっと明確にしないといけない。次の戦いは自分は“共通認識”が鍵だと思っています」。全員で同じ認識を持って繋がりながら、3大会連続の関東大会進出を狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

聖望学園中 0-1 西武台新座中
0(前半)0
0(後半)1