[総体]2大会ぶりの夏の全国へ、武南が苦しみながらも初戦突破!延長戦で難敵・武蔵越生を振り切り、準々決勝へ
令和7年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会3回戦が7日にBUNANフットボールフィールドほかで行われ、武南は延長戦の末に3-2で武蔵越生を振り切り、準々決勝進出を決めた。
武蔵越生は1回戦で浦和北、2回戦で細田学園を下してラウンド16に進出。一方、関東大会に出場し、Bグループを制した武南はこれがインターハイ予選初戦だった。「それに尽きると思います。初戦がすべてだと思ったので」と内野慎一郎監督もいうように初戦は難しい試合となった。
両チームは新人戦準々決勝でも対戦し、後半に2点を奪った武南が2-0で勝利。そのリベンジを狙う武蔵越生は長身のFW森一馬(3年)にボールを当てながら、FW野口遥(3年)が背後を取るプレー。11分には野口が抜け出したが、ここは武南GK金昶銖(2年)がストップした。
武南は少しバタついた感もあったが、MF小山一絆(2年)が中継点となってパスを繋ぎながら、MF平野琉斗(3年)主将が積極的にフィニッシュに関わる動き。左MF渡辺悠(2年)、右MF関口海龍(3年)の両翼が果敢にカットインを狙いつつ、「刺せる時は刺す」(監督)プレーが増えてきた中盤以降は指揮官も「良かったと思いますし、そこから雰囲気が出てきた」と話す。
35分には渡辺、関口と繋ぎ、空いたコースに平野が走り込んで形。40分には右SB滝沢大輔(3年)が個で相手選手を交わし、スルーパスにFW塚田恵斗(2年)が抜け出したが、武蔵越生は新人戦は怪我で無念の途中交代となった武蔵越生GK小林汰雅(3年)が好判断を見せ防いだ。
武南の攻撃が続いた中で、武蔵越生は小林やゲーム主将のDF吉野大輝(3年)を中心に凌ぐと、前半ラストプレーでロングスローからの混戦をDF白岩武琉(3年)が決めて先行を奪った。
武南としては勢いが出てきた中での失点。それでも1点を追う後半立ち上がりから連続してチャンスを作り、4分にはMF八百川尚輝(2年)のシュートがクロスバーを強襲。これはゴールとはならなかったが、5分、滝沢のクロスから平野がミドルシュートを決めて同点に追いついた。
さらに武南は23分、小山の直接FKは小林の好守に防がれたが、そこで獲得した左CKから小山のクロスをDF小田村直澄(3年)が打点の高いヘディングで突き刺し勝ち越しに成功する。
逆転を許した武蔵越生だが、ここから脅威の粘り。33分、MF久恒佑心(3年)がハーフウエーライン付近でボールを持つとそこからドリブルで持ち込んでクロス。ニアサイドがスルーすると、フリーで抜け出した途中出場のMF飯塚蒼大(3年)が右足で流し込んで同点に追いつく。
武南は35分にペナルティキックを獲得したが、10番MF有川達琉(3年)のキックは再三にわたり好セーブを見せていた小林がストップ。試合はそのまま延長戦にもつれ込むこととなった。
武南は有川が果敢に仕掛け、延長前半2分にはカットインからのパスを受けた八百川が狙ったが、枠を捉えきれず。PK戦も迫る中で武南は延長後半4分、平野が前線にスルーパスを通すと、抜け出した八百川が今度は仕留めた。これが決勝ゴールとなり、武南が難しい大会初戦を制した。
内野監督は「前半の最後に失点してしまったのは大きな誤算だった」と失点を反省。ただ、その中でも「アクシデントがあったり、そういうものの中で勝ちきれるっていうのは大切なのかなと。向こうもすごく良いチームだし、準備もしてきただろうし、そういうところを倒すのってそんなに簡単にいかないなと思う。逆にこっちが今日はよく粘り強くやったかなと思います」と話す。
「本人たちが一番、PKを前に決めようとか、決着をつけようっていうことは口にも出ていましたし、そういう雰囲気に練習の中で持っていけることはすごく良いこと。練習の雰囲気もすごく良いです。今年特有の良さっていうのは、やっぱりゲームにもこうやって現れてくる部分があるのかなと」。流れが良くない中でも崩れない、というのは今年の武南のストロングのひとつだ。
小田村は「入り方が悪かった中で、ハーフタイムにみんなでもう一回、締め直して入れたのは良かった」と振り返る。先日行われた関東大会ではBグループを制覇。次なるターゲットは当然、インターハイ予選を制しての2大会ぶりの夏の全国だ。平野主将は「優勝します。もう本当にそれだけ」と力強く宣言。難しい初戦を制した武南がここから勢いに乗り、頂点へと駆け上がる。
石黒登(取材・文)
試合結果
武南 3(延長)2 武蔵越生
0(前半)1
2(後半)1
0(延前)0
1(延後)0