[総体女子]川口市立、南稜をPK戦で下し3位。昨年の初の県制覇から進化を目指す代、星主将「選手権でもう一回昌平とやって勝ちたい」
令和7年度埼玉県学校総合体育大会(高校サッカー女子の部)3位決定戦が10日に浦和駒場スタジアムで行われ、川口市立と南稜が対戦。PK戦の末に川口市立が制し、3位で大会を終えた。
雨で両チームともになかなか思うようにサッカーができない中で、川口市立は回収したボールを背後に蹴り出し、そこを起点に徹底して攻撃。前半から相手に圧力をかけながらプレーした。
一方、準決勝の昌平戦でシュート0本に終わった南稜も相手のプレスを剥がしながら31分には10番のMF高橋咲来夢(3年)主将がミドルレンジから惜しいシュート。後半10分にも高橋咲が持ち上がるとFW小嶋ゆうき(1年)とのパス交換からシュートまで繋げるシーンがあった。
川口市立は後半、MF原葵子(3年)、DF廣井杏朱(3年)の右サイドからアタック。前戦ではこの日トップで起用された10番FW宮島加奈絵(3年)がドリブルで切り込んで怖さを見せる。28分には原との連携から途中出場のDF成瀬芭奈(2年)の左足シュートがポストを叩いた。
そのまま迎えた延長戦では川口市立が連続してチャンス。延長前半7分にMF村上海来(3年)のクロスをMF宮崎菜々夏(3年)が競り、こぼれ球をFW亀井心音(2年)が惜しいシュート。10分には縦パスに抜け出した原がこぼれ球を狙うが、これは相手DFのブロックにあった。
勝負は90分で決着がつかず、PK戦へ。川口市立は準決勝の花咲徳栄戦に続いてのPK戦となった中でGK吉田亜未(3年)が躍動する。「徳栄戦は事前に準備をしておかなかったので、昨日準備してちゃんとやってきました」という守護神は緊張感のある相手の1本目を右に飛んで阻止すると、さらに4本目もストップ。蹴っては4人全員が決めて3位フィニッシュを飾った。
両軍ともに難コンディションに手を焼く中で金沢学監督は「やっぱり我慢してやり続けるしかないかなと。普段やっている足下の繋ぎとかが一切できない状況で、徹底してやっていこうっていう感じで、トータルで言うと90分足を吊ることなくやりきれたのかなと思います」と話す。
今大会は初戦からけが人が続き、メンバー表にも試合を追うごとに次々と斜線が引かれていくスクランブル状態。まさに総力戦となった中で全員でやるべきことを徹底し、勝利を引き寄せた。
昨年は新人戦、総体、選手権とすべてで県決勝に進出。今年はその経験者も多数残る有力代だ。「だいぶやっているサッカーは違うし、目標としているところもだいぶ変えてきている」(監督)。
サッカー自体も昨年はロングボールが主体だったが、今年は「運動量的にも全然違います」というように中盤でポゼッションをしながら、連動して裏を取っていくサッカーに変更。初の県制覇を果たした昨年から、もうひとつ戦うステージを上げるべく、チームとしての成長に取り組む。
今大会は新人戦で敗れた昌平との再戦を目指していた中でショックもかなり大きかったというが、すでに視線は前を向いている。DF星春那(3年)主将は「もう最後の大会なので。サッカーを続けない人も多いのかなと思うので、やっぱりみんなで最後の大会を最後まで勝ちきって、もう一回昌平とやって勝ちたいと思います」。宿敵と戦って今度は勝つために、さらに成長する。
石黒登(取材・文)
試合結果
南稜 0(2PK4)0 川口市立
0(前半)0
0(後半)0
0(前半)0
0(後半)0
2(PK)4