第38回浦和カップ 矢板中央 vs 浦和南
第38回浦和カップ最終日。第30回大会以来となる決勝に進出した浦和南高校は、矢板中央高校(栃木)を相手にPKから先行を許したが、前半29分にFW狩集洸哉のロングシュートで同点に追いつくと延長、PK戦の末に勝利。8大会ぶり6度目となる優勝を飾って幕を閉じた。
序盤は相手の攻勢に対し後手に回った。前半26分にポスト直撃のシュートを打たれると、直後にロングスローから守備のギャップを突かれPKを献上。これを決められて先制を許した。
それでも得点後の一瞬の隙を見逃さなかった1トップの狩集がすぐさま同点弾を叩き込んだ。
前半29分、DF渡辺優人のスルーパスをエリア右外で受けた狩集は相手GKが前に出ているのを見るや右足を一閃。新人戦支部予選準決勝の市立浦和戦でも無回転のロングシュートを決めていたが、「今回はチップで浮かせた軌道を意識しました」。ボールは放物線を描きながらキーパーの手をかすめ、最後はクロスバーの下を叩いてゴールに吸い込まれた。
迎えた後半はしっかり守備の課題を修正。ロングボールに対してはヘディングの強いDF相馬海音がファーストディフェンスに行き、それをDF庄司千暁がカバー。セカンドボールはアンカーの鹿又耕作が奪取するなど、センターの三角形で矢板中央の攻撃をシャットアップした。
しかし攻撃ではチャンスを作るもあと一歩が合わず。後半39分には左からのクロスにFW岡田竜哉がニアで合わせたが惜しくもゴール上に外れた。その後10分ハーフの延長戦では狩集のクロスバー直撃のシュートもあったが得点には結びつかない。浦和南は終了間際に「反応が一番良い」(野崎正治監督)というGK正野友稀を投入する中で勝負はPK戦にもつれ込んだ。
PK戦ではその正野が3本目と5本目をセーブ。「止めた2本はしっかりと相手の動きを見て飛んだ。いまはメンバー選考の期間。入るからには絶対にインパクトを残さないといけないなと思ったので気合いを入れて入っていけました」と正野。浦和南が5ー4でPK戦を制し大会最多となる6度目の優勝を決めた。大会最優秀選手には値千金の同点弾を入れた狩集が選出された。
野崎監督は「優勝したことは素直にうれしい。公式戦を迎えるにあたって、モチベーションにはなると思う」とした上で「今日の内容を見ると選手自身が課題は多いと感じないといけない」。選手も結果に一定の自信を見せた上で「まだまだ課題はある」「これからが大事」と繰り返した。「昨年の10月14日を忘れるな」をテーマに始動した今年のチーム。見据えるのは埼玉の頂、全国の舞台であり、ここはひとつの通過点。まだやらなければいけないことはある。
そういった中で1失点はしたものの、守備で最少失点に抑えたことはひとつの収穫。先月の清水遠征で強豪校と対戦し、球際の部分を学んだという相馬は「新人戦1回戦の昌平戦では自分たちの守備が甘くて3点もやられてしまった。それが悔しくて、清水では強豪校から守備を学んできた。今大会でも強豪校の守備の強度も学べたので今後に活かしていきたい」とした。
この経験を糧にまずは次週から始まる関東予選制覇を狙う。「毎試合必ず点を取って優勝します」とエースの狩集。キャプテンのDF西村晃雄は「今回の優勝で期待値も高まってくると思うので、しっかりと結果を残していかないといけないと思います」と静かに闘志を燃やした。
試合結果
矢板中央 1(4PK5)1 浦和南
1(前半)1
0(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
4(PK)5
最優秀選手
狩集洸哉(浦和南)
優秀選手
相馬海音、大谷祐介、鹿又耕作、庄司千暁(浦和南)
土沢昂太、長谷部琉馬、伊藤恵亮(矢板中央)