プリンスリーグ関東・参入決定戦 矢板中央 vs 昌平

プリンスリーグ関東・参入決定戦1日目が23日、埼玉スタジアムサブグラウンドで行われた。矢板中央高校(栃木)と対戦した今季県内5冠の昌平高校は前半をスコアレスで折り返したものの、終盤に失点を重ねて0ー2で敗れ、3季ぶりのプリンス昇格とはならなかった。


「取り切らなければいけないところで精度を欠いたり、選択肢の少なさが最後のシュート判断に至らなかった部分があった。相手はしっかりと取り切った」と昌平・藤島崇之監督。シュート本数は昌平の11に対し、矢板中央は10と互角だった中で最後の部分の精度が勝負を分けた。

前半はほぼ想定内の展開と言っていいだろう。昌平はディフェンスラインからしっかりとビルドアップしながら攻撃のチャンスをうかがう展開。矢板中央の堅守もあってチャンス自体はそれほど多くはなかったが、22分には右サイドのDF塩野碧斗、MF森田翔の2人が起点となってそこにMF山下勇希が絡むと、最後はMF古川勇輝のシュートがサイドネットを強襲した。

守備においても相手のパワフルな攻撃に対し、「自分たちも競り合いには自信を持っている。そこに関しては良いチャレンジができていたし、カバーもしっかりとできた」という石井優輝、関根浩平のセンターバックコンビがしっかりと対応し、0ー0で前半を折り返した。

迎えた後半も両サイドから好機を作った昌平。11分には右サイドの森田のクロスにMF渋屋航平が頭で合わせるも、キーパーの好守に阻まれて惜しくもゴールならず。22分には再び右からの展開から森田のシュートがゴールのわずか上に外れた。さらに29分には今度は左サイドバックの堀江貴大のクロスに斜めに走り込んだ森田のヘディングがクロスバーを直撃する。

しかしチャンスを決め切れずにいると、後半34分に直接フリーキックを叩き込まれて失点。攻めるしかなくなった昌平は後ろを固めてきた相手に対し、攻撃に人数をかけて同点ゴールを奪いにいくが、逆に42分に前がかりになったところを高速カウンターから追加点を許して0ー2。このビハインドを跳ね返すことができず、昨年に続きプリンス昇格は叶わなかった。

シュート2本に終わったFW佐相壱明は「自分の特徴である背後への動き出しを警戒されて、相手がラインを落とした中で何もできなかった」。後半は得意の反転からシュートを狙ったが「クオリティが低かった」と反省。前半途中にトップ下からボランチにポジションを移した山下は「簡単に捌くところでドリブルで引っ掛けてしまった。状況判断が反省点」とした。

キャプテンの石井は「失点シーン以外はパーフェクトなゲーム運びができたと思うんですけど……」と悔しさを滲ませながら「どれだけ抑えていても失点をした時点でディフェンスは負け」「後輩たちに置き土産を残せなかったのは自分自身も悔しいし、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。選手権ではひとつでも高い景色を見られるように」と全国での雪辱を誓った。

この悔しさは選手権で晴らす。まずは一戦必勝だが、勝ち進めば3回戦でもう一度矢板中央と当たる可能性がある。「この借りは本当に大きな借り。自分のやれることを再確認して、もっとプレーの幅、クオリティを上げて借りを返したい」と佐相。「これがあったからこそと言えるように」(藤島監督)。残りの期間で各々がクオリティアップを図って本大会に挑む。

その上で山下は「最後は自分たちが全国優勝を成し遂げて昌平のサッカーであったり、『埼玉はできるんだぞ!』というところを全国の人に見せたい」と気持ちを新たに決意表明した。

石黒登(取材・文)

試合結果

矢板中央(栃木) 2-0 昌平

0(前半)0
2(後半)0