[S1]「きちっと作って、潜って、侵入する」。自分たちのスタイルを貫き通した武南が選手権予選覇者・正智深谷撃破で降格圏脱出!
高円宮杯U-18サッカーリーグ2024埼玉1部リーグ(S1リーグ)第17節の残りが1日に行われ、暫定8位の武南は同3位の正智深谷に先制弾を許したものの、2-1で逆転勝ちを収めた。
今季は状況次第で3チームに降格の可能性があり、武南はこの試合を前に降格圏の8位。「後がない」状況の中で内野慎一郎監督も「今日は本当に今季一番気持ちが入っていて、結果もついてきて、最後になりましたけど、良い団結力が見えたんじゃないかと思います」と笑顔を見せた。
「選手権を獲ったいま一番乗っている」チームをホームに迎えた一戦。先制したのはアウェイチームだった。逆転でのリーグ連覇に向けて、是が非でも勝ち点を持ち帰りたい正智深谷は前半39分、MF小西聖七(3年)のクロスのこぼれ球をMF大和田悠(3年)主将が決めて先制した。
一方、武南もこれにひるむことなく、ボールを動かしながらゲームを作り、ドリブル突破やダイレクトプレーを交えて敵陣に侵入。すると後半4分、左サイドでMF渡辺悠(1年)、DF土屋愉生(3年)と繋ぐと、クロスに「前半はゴール前での接点が合っていないと監督に言われていて、中で接点を合わせるようにした」というFW大熊來瑠(3年)が点で合わせて同点とする。
さらに9分には大熊のスルーパスにFW長谷川渉(3年)が反応。「自分はスピードを生かしたプレーが特徴。大熊くんが良い背後へのパスをくれたので、自分の特徴を生かせた」。トップスピードのまま抜け出すと、最後はキーパーとの1対1を冷静に左足で突き刺し逆転に成功した。
その後も武南らしい攻撃サッカーで相手コートへ。大熊も「今日は特に、去年の(松原)史季くんとか、(髙橋)秀太くんがいた時のサッカーを再現できたかなと思います」というように密集を作り、ワンタッチパスを繋ぎながら、効果的なサイドチェンジで相手を疲れさせるプレー。そこから大熊やMF畑乙樹(3年)、MF小山一絆(1年)が深く潜り込んでチャンスを作った。
26分には小山がドリブルで左サイドを抉り、マイナスのクロスから長谷川のシュートがクロスバーを直撃。正智深谷は28分、途中出場のセットプレーの流れからMF栗原エイト(3年)の左足ボレーが惜しくも右に外れた。武南も42分、渡辺の左足シュートがクロスバーをかすめた。
追加点は生まれなかったが、武南が今季ベストに近い内容で選手権予選覇者の正智深谷を撃破。苦しさもあったシーズンで内野慎一郎監督も「きちっと作って、潜って、侵入する。そういう武南独自のサッカーを貫き通しながら、自分たちのスタイルとして勝利に導けたのはすごい大きかった」。結果以上に、自分たちのスタイルで戦っての勝利に久々のガッツポーズも飛び出した。
これで勝ち点を19とし、7位にひとつ順位を上げて降格圏を脱出。しかしながら8位・武蔵越生とはまだ1ポイント差であり、次週の最終節・成徳深谷戦もひりつくような戦いとなりそうだ。
大熊は「武南はいままで1回も県2部とかに落ちたことはないと思うし、俺らの代でそういう結果を残すわけにはいかない。残留のための望みを残したっていうことは大事ですし、また来週もこれで切り抜けるんじゃなくて、絶対に勝たなきゃいけないと思います」と意気込みを語った。
試合後にはメンバー外の3年生たちの引退試合も実施。この日試合に出場した3年生たちがいつものお返しとばかりに応援に回りながら、ゴールの際には自分たちのことのように喜びサポートした。最終節は仲間たちの想いも背負いながら、自分たちのスタイルで勝って残留を決める。
石黒登(取材・文)
試合結果
武南 2-1 正智深谷
0(前半)1
2(後半)0