[選手権]浦和学院、武南を振り切り2年ぶりの4強入り!粘り強い守り光る、「彼らがやりたいことが出た」決勝ゴール

第103回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会の準々決勝が3日に行われ、浦和学院が1-0と武南との接戦をものにし、ベスト4に進出した。10日の準決勝では西武台と激突する。

「もう武南さんは多分、ああいうふうにやってくるだろうっていうのと、うちもいつも通りやりたかったですけど、やっぱり駒場で武南に勝つのは多分大変だなっていう、歴史のところもあったので、かなりちょっと守備的になっちゃいましたけどよく頑張ったなと」(川上耕平監督)

やりたかった攻撃サッカーはなかなか体現できなかった。それでも浦和学院は数々の激闘が行われてきた駒場で粘り強く戦い伝統校・武南を撃破。2年ぶりとなるベスト4入りを果たした。

浦和学院は佐藤大心(3年)、小柳快颯(3年)の両WBが高い位置を取って、サイドを起点にアタックを展開する。前半9分、MF坂間真翔(3年)の左CKからMF二階堂拓人(3年)が惜しいシュート。10分には坂間のアーリークロスから右WBの小柳が飛び込んで狙っていく。

一方、武南も10番のMF有村達琉(2年)らの個のドリブル突破と連続したショートパスを交えて相手陣地の攻略を目指す。13分にはフリーキックのこぼれ球をMF畑乙樹(3年)が狙ったシュートはライン上でディフェンスがクリア。31分にはFW大熊來瑠(3年)がドリブルで侵入しシュート。こぼれ球をDF今平啓太(1年)が狙ったが、決めきることはできなかった。

武南は後半開始直後にもMF佐藤颯(3年)が侵入し、MF長谷川渉(3年)と繋ぎ、最後はMF小山一絆(1年)が狙ったが、前半にも決定機を防いだ小柳が決死の守備でゴールを守り抜く。

後半武南は選手交代を交えながら攻撃のスピードアップを狙うが、なかなかゴールが奪えない。16分に小山がディフェンスと入れ替わり、18分には大熊がDF土屋愉生(3年)とのパス交換からシュートまで繋げたが、両方とも浦和学院の守護神・岡本悠汰(3年)がしっかりと収めた。

浦和学院は守備時は最終ラインを5枚にし、選手間を埋めて粘り強い守備を徹底。DF御武内龍吾(3年)、DF秋澤聖(3年)とともに中央で強さを見せたDF上村龍生(3年)は「守備の時間が長かった中で、オブとかセイとかがしっかり声を出してくれて、みんなで強力して、スライドしながら守れたと思います」と胸を張る。岡本も含めて、後ろの4枚は最後まで崩れなかった。

攻撃面では21分にFW宮本輝(3年)とFW市川輝(2年)を投入。すると終盤の29分だ。キーパーからのビルドアップが佐藤に入ると「あいつなら出したら、ワンツーで裏も出してくれるのはわかっていた」と宮本へ一度預ける。その言葉通り、宮本は持ち前の身体の強さを見せてしっかりとリターン。そのまま佐藤が自慢のスピードで左サイドを抜け出すと、クロスにニアでFW平昭一哉(2年)が潰れて、ファーサイドに走り込んだ市川が決めて待望の先制点を奪った。

守る時間が長かった中で「彼らのやりたいことが出た」(監督)形のゴール。市川は「やっぱりあの時間で入るっていうことは、ゴールやチャンスを作ってこい!っていう意味だと思ったので、自分がゴールを決めるっていう気持ちで入りました」という中で大会初出場を結果に繋げた。これが決勝点となり、浦和学院が武南を1-0で撃破して2年ぶりとなる4強に駒を進めた。

前回は上田海輝人、石川真稀の攻撃の2枚看板を軸に勝ち進んだが、今年も中盤でコンタクトをふるう10番MF平瀬優真(3年)や個で打開できるドリブラーの佐藤ら攻撃に好タレントがいる。また、リーグ戦は失点が多かったが、今大会は3試合で無失点を継続しているのは好材料だ。

準決勝は西武台が相手。今季はS2Aリーグでセカンドチームの西武台Ⅱに2敗している中で秋澤は「相手はトップチームですけど、粘り強く戦って頑張りたい。相手はセットプレーが強いので、ちゃんと声を掛け合って、身体を張って守れれば」と意気込み。今季苦杯を味わっている強敵を下し、第66回大会以来となる2度目のファイナル進出、そして初のタイトルへ突き進む。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和学院 1-0 武南
0(前半)0
1(後半)0