「勝って決める!」西武台Ⅱが浦和学院を振り切り、S2Aリーグ制覇! ブレない軸となった3年生たち、セカンドで出場した和倉ユースがひとつの契機に
高円宮杯U-18サッカーリーグ2024埼玉2部Aリーグ(S2Aリーグ)第15節が9月29日に行われ、西武台Ⅱと浦和学院の一戦は2-1で西武台Ⅱが振り切り、3節を残して優勝を決めた。
前節を終えて首位・西武台Ⅱと2位・浦和学院の勝ち点差は「10」。絶対的優位に立つ西武台Ⅱは引き分け以上で今節の優勝を決められる状況だったが、チームとしての共通認識はもちろん「勝って優勝を決める」こと。その想いを体現するかのように立ち上がり早々にスコアを動かす。
前半2分、西武台Ⅱはキャプテンマークを巻くMF増田京耶(3年)の左CKから「キッカーの増田くんはいつも良いボールを蹴ってくれる。それに対して迷わずに飛び込めた」と話すCB高倉大翔(2年)が打点の高いヘディングでゴールネットに突き刺し、幸先良く先制に成功した。
その後も西武台Ⅱはチームの精神的柱である増田やMF高橋宥輝(3年)が中心となりながら武器のセットプレーやリーグ11得点のFW小田嶋勇吾(3年)を狙ったクロスから得点を狙う。
一方、勝利が絶対条件の浦和学院もCB御武内龍吾(3年)主将を中心に粘り強い守りで追加点を与えず。奪ったボールを大事にしながら攻撃の機会をうかがう。なかなかシュートまで行くシーンはなかったが、38分にカウンターからFW佐藤大心(3年)が決めて同点に追いついた。
浦和学院は後半1分にも前からプレスをかけ、抜け出したFW平昭一哉(2年)が右足で狙ったシュートが左ポストを叩く。西武台Ⅱにとっては難しい時間が続いたが、同校OBでCB出身の美川笙乃コーチのもと、今季総失点「7」と守備も徹底してきたチームは粘り強さを発揮。声を掛け合いながら最終ラインでは高倉とCB田谷巧翔(2年)を中心に相手の攻撃を防ぎ続けた。
また、「(第12節の)川口市立戦もそうですし、前回の浦和東戦もそうですし、その前のところもやっぱり交代してそれがうまく噛み合ったっていうのが、サブの選手たちも含めて成長しているんじゃないかなというところはチームとしてある」(美川コーチ)。後期は交代でメッセージを打ち出しつつ、交代後の得点も多かった中でこの日も貴重な追加点は交代選手から生まれた。
30分、MF杉山幸一郎(2年)のスルーパスからMF山田清羅(2年)が抜け出し。「(途中出場で)自分の持ち味のスピードを生かして、チャンスをどんどん作ってこいと言われて入った。自分は行くことしか考えていなくて、(オフサイドは)絶対にないと思った」(山田)。最後まで集中を切らさずボールを追い、キーパーとの1対1を落ち着いて右足でゴールネットに沈めた。これが決勝点となり2-1で浦和学院を振り切った西武台Ⅱが勝ってS2Aリーグ優勝を決めた。
セカンドチームゆえにチームを固定できない難しさも。その中で美川コーチは3年生が「ブレない芯」としてチームを下支えしてくれたと話す。この日も増田や高橋が苦しい時間帯でも声を切らさずプレー。増田は「もう本当にいままでやってきたことがすべて出たなと」と笑顔を見せた。
前期は7勝1敗1引き分けだった中で後期は6連勝とペースアップしてタイトルを掴み取った。ひとつの契機になったのは和倉ユースだ。他県のトップチームが集う大会に西武台はセカンドチームで参戦し、4位。美川コーチも「夏は守屋(保)先生や小田(光彦)先生に帯同していただいて和倉の方に遠征に行かせてもらって。交代の使い方も含めて僕自身も勉強になりました」。そこで得たできたこと、できなかったことをブラッシュアップしながら後期の成長に繋げた。
「チームとしてやっぱり一番大きな目標はトップで出る選手を作ること。その次にS2の優勝だと言っていたので、S2の優勝が決まった部分、トップにこれからは目を向けて、プリンスの残留と選手権に向かうためには、もう9月前とか選手権前には優勝を決めようという話をしていたので、ここからは全員で選手権に向かっていくっていうところをこだわってチームをひとつにしたいなっていう。そのプラスになるといいなっていう気持ちは持っています」(美川コーチ)
この日活躍した選手も選手権のメンバー入り。増田は「やっぱり選手権に出るっていう目標を掲げてこの学校に入ってきたので。メンバーに入った以上、しっかりとまずはベンチに入って、出ようが出まいがチームのためにやることが自分にできることだと思うので、もし出たらしっかりとチームのためにやって、声をかけてサポートしていければなというふうに思っています」と意気込み。S2制覇というひとつの目標を成し遂げ、次はチーム一丸となって選手権に臨む。
石黒登(取材・文)
試合結果
西武台Ⅱ 2-1 浦和学院
1(前半)1
1(後半)0