令和元年度 全国高校総体 埼玉県予選R16 国際学院 vs 浦和東

インターハイ予選3回戦。西武台高校会場第2試合は、国際学院高校が浦和東を2ー1の逆転で下した。関東予選準優勝で3回戦からの登場となった浦和東はまさかの初戦敗退となった。

先制点は浦和東だった。前半16分、ハーフウェイライン付近で受けたMF伊藤大賀がロングボールを蹴りこむと、これがキーパーのキャッチミスを誘い、思いがけぬ形でスコアが動いた。

一方、国際学院は前半はシュート0に終わったが、1トップの大場一翔が精力的に走りながら押し込む形も作っており、「押し込んだチャンスがシュートまで行き切れれば絶対に点は入るなとは思っていた。後半は最後までやりきろうというのは話をしました」(酒井宏治監督)。

後半も難ピッチでの攻防戦が繰り広げられた中で、国際学院は17分に左コーナーキックを獲得するとMF佐野佑真は低くて速いボールを選択。これがエリア内でハーフバウンドしてそのままネットインした。同点とするとさらに24分、再び佐野のキックからニアでMF小河原龍大が逸らし、ファーサイドでマークを外したDF菅生翔がヘディングで押し込んで逆転に成功した。

攻めるしかなくなった浦和東は後半27分、MF加藤清登のクロスをFW古澤将吾がダイビングヘッドで狙うも一歩届かず。長身DF池田晴紀ら交代札を切りながら、終盤はDF安食龍成、DF松本ケンチザンガらも前線に出てゴールを狙ったが、ネットを揺さぶることはできなかった。

佐野が絶妙FKで1G1A 準々決勝も勝利し、兄が見た全国の舞台まであと2つ

「全然できるっていう雰囲気は作り出せていた。逆転できると思ってプレーしていました」。関東予選のふじみ野戦は失点後に崩れたが、この日のチームはそれを跳ね返す強さがあった。

後半17分、左コーナーキックを獲得すると、キッカーのMF佐野佑真「下がスリッピーなのはわかっていたので相手の選手の前でバウンドするような速いボールを入れれば直接も入るし、誰かが触っても入ると考えていたので」。右足のインにかけて蹴られたスピードボールはエリア内でハーフバウンドしながら「狙い通りの形」で直接逆サイドのネットに突き刺さった。

この1発で同点とすると、さらに24分には再びの機会に今度は一本目の裏をかくようなふわりとしたボールをニアにピンポイントで合わせて、逆転弾をアシストするなどキックで魅せた。

「自分でも自信を持ってキックをやっている。そこで結果を残せないと本当に存在価値がないと思っているので、今日はそこから2つ結果を出せて良かったと思っています」と背番号10。

兄は第95回全国高校サッカー選手権大会で佐野日大の一員として全国3位に輝いた佐野拓海さん。「刺激」と語る神奈川県の社会人でプレーする兄とは現在でも仲が良く、試合後の反省会は佐野家の日課だ。この日は兄も現地観戦。「最後シュートを外したところで、あれも決めろよとさっき言われた。個人的にもまだまだ。また点を取って勝てるように頑張りたいです」。

翌日に行われた準々決勝も勝利し、初の4強に進出。兄が見た全国の舞台まであと2つだ。

関東予選準優勝の浦和東は初戦で敗退… それぞれが個を高め冬の選手権でリベンジを

関東予選準優勝、インターハイで久々の全国を目指した浦和東は無念の初戦敗退となった。

「裏に蹴る狙いを持っていたんですけど、相手に引っ掛けることが多かったり、簡単にクリアするところをドリブルして取られて、ファールして、それがコーナーになって失点に繋がってしまった。やらなくちゃいけないことを確認できていなかった」とゲームキャプテンの安食。

先制点の伊藤は「点を取ったのは良かったんですけど、2失点目は自分がマークを外してしまって決められたのでめっちゃ悔しい」と反省。また「左でももっと自分が崩せるようになっていかないとダメだなというのを感じた。自分はキッカーでもあるのでキックと、あとはプラスαで何かチームに貢献できることを、冬までにしっかりとレベルアップしていきたい」とした。

グループとして関東予選準Vを果たすも、関東本戦、そしてこの日の試合と「個」の部分で課題を感じた今年の6月。それぞれが自らの宿題をクリアし、冬の選手権でのリベンジを狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

国際学院 2-1 浦和東

2(前半)0
0(後半)1