第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県予選会決勝トーナメント2回戦 立教新座 vs 西武文理

全国高校サッカー選手権・埼玉県予選2回戦。立教新座高校と西武文理高校の一戦は終盤までスコアレスで進行する中で西武文理は後半31分、コーナーキックの折り返しをFW澤田颯太が頭で決めてこれが決勝点。関東大会出場校の立教新座を1ー0で退け、3回戦進出を決めた。


互いに後半に切り札を持ってくる中で、交代策を奏功させた西武文理が接戦をものにした。

前半、西武文理はロングボールで起点を作りながら、1回戦ハットトリックの澤田がシュートに持ち込んでいく。対する立教新座は南口周矢、清水昭希を中心にこれを跳ね返し、機を見てMF渡邊佑がドリブル突破で仕掛けるも西武文理も守備意識が高く、0ー0で折り返した。

ともに後半勝負にかける中でまず動いたのは西武文理ベンチ。4分にMF山本竜也、続いて15分に10番のFW橋爪健、FW浅見玲王をピッチに送り出す。立教新座も6分にエースのFW稲垣輝一、FW細田翔太を2枚同時投入して勝負に出た。ここから一気にゲームは加速していく。

立教新座は後半12分に稲垣がディフェンス2枚の間を割ってチャンスメイク。25分にはゴール右斜め前方でフリーキックを獲得すると、左足のシュートは惜しくもクロスバーを叩いた。

立教新座が攻勢を強める中で、しかし先にスコアを動かしたのは西武文理だった。後半31分、浅見のコーナーキックをファーで橋爪が折り返すと、最後はゴール前で澤田が頭で触って先制点。初戦は頭で3得点。「利き足は頭」という言葉に違わぬ澤田の大会4発目で均衡を破る。

残り10分で1点を追うことになった立教新座は後半37分にMF小岩宥紀のフィードから稲垣のボレーシュートは惜しくもゴール上に、その直後にはゴールキックから前線にポジションを変えた南口が落として細田が抜け出したが、西武文理の堅守をなかなか崩すことができない。

終盤は押し込まれながら主将の河村祥栄、山崎拓郎を中心にディフェンスラインが最後まで高い集中力を見せた西武文理が今年の関東大会出場チームを下し、ベスト16に駒を進めた。

切り札トリオが流れ変える 決勝弾アシストの橋爪「点を取れる自信はある」

西武文理・山口豊監督が「ターニングポイントだった」と振り返ったのが後半の選手交代。「お前らでゲームを決めてこい!」。4分に山本、15分に橋爪、浅見と前線のタレントを相次いでピッチに送り出し攻撃のメッセージを打ち出すと、彼らが絡む形でゴールが生まれた。

後半31分、浅見のコーナーキックを「ヘディングは長所。絶対に負けない自信はある」という180cmの橋爪がファーサイドで折り返し、中央で澤田が頭で詰めてこれが決勝点となった。

リーグ再開後から橋爪ら3人を後半の切り札として投入する形に変え、これが奏功している。前期S2Bリーグでは4勝4敗1分だった中、後期は前節昌平Bに初の黒星をつけられたものの、そこまでは負けなし(4勝3分)、うち7戦すべてで得点をマークするなど得点力がアップ。前日の選手権1回戦・越ヶ谷戦では彼らの加わった後半に一挙5得点を奪い、勝負を決めた。

「後ろが守ってくれれば、あとは前の4人で取り切る自信はあります」と橋爪。もとより堅守には定評のあるチームだ。ロースコアゲームとなれば、再び主役となる準備はできている。

途中まではプラン通りの戦いも… 初の選手権制覇を狙った立教新座は無念の初戦敗退

失点まではプラン通りだった。それだけに立教新座・前田和伸監督は失点シーンを悔いた。

「これが選手権。普段の60、70%くらいしか周りが見えていなかった」と前半はなかなかボールを落ち着かせることはできなかったが、守備では南口、清水を中心に粘り強く対応。後半は稲垣、細田を投入しフリーキックなどからゴールに迫ったが、31分に対策を重ねてきたセットプレーから失点した。「あれ以外はセットプレーも全部対応できていたとは思うんですけど、やっぱりあれだけ多く与えてしまうと……」と、悔しさを噛みしめるように静かに語った。

大会前に須田進太郎、谷治直弥と1年間を回してきたサイドバック2人が相次いで負傷。フォワードとして準備してきた南口を後ろで使わざるを得ないという、苦しい台所事情もあった。

とはいえ今年は現校名初の関東本戦出場、インターハイ予選でも4強に入るなど、新たな部の歴史を刻んだイレブンたち。指揮官は「本当に感謝というか、ありがとうという言葉をかけたいですね」と3年生を労い、来季を担う下級生にはグラウンド内でのより一層の自立を求めた。今回各々が感じた課題を克服し、来年は先輩たちが果たせなかった全国大会出場を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

立教新座 0-1 西武文理

0(前半)0
0(後半)1