新指揮官の熱に選手も呼応 新体制で「稲妻をもう一度全国へ」を掲げる大宮東が代表決定戦へ
第103回全国高校サッカー選手権大会・埼玉県一次予選会の2回戦が28日に県内各地で行われ、大宮東と秩父農工科学が激突。大宮東が13-0で勝利し、31日の代表決定戦進出を決めた。
相手の背後に起点を作ってシンプルに攻めた大宮東は前半5分、MF増田脩人(2年)の左クロスから「今日は先生がファーストゴールを取ったやつがヒーローだと言っていて、入る時に絶対にやってやろうと思っていた」と話すMF松村凌二(3年)がダイレクトで合わせて先制した。
これで勢いに乗ると16分にDF村山優夢(3年)主将の右CKからDF新谷善(2年)がヘディングで仕留め追加点。その後もピッチ状況も踏まえながらゴール前に多くボールを入れてアタック。24分にはDF武藤瑛大(2年)のアーリークロスからMF青井昊輝(2年)が沈めた。
26分にもMF吉田麗亜留(3年)がゴール前で粘り、落としたボールを青井がダイレクトで振り抜いてゲット。33分には新谷のスルーパスに抜け出した吉田が決めてリードを5点と広げた。
後半はメンバーを入れ替えた中でさらに8得点を追加。「やっぱり得点するところを見て欲しいですし、自分がボールを持ったらチャンスを作れるところを見て欲しい」というFW松本淳(2年)、増田が後半だけでハットトリックを記録。MF渡邉煌(3年)も2得点を奪ってみせた。
また、後半11分からは怪我明けの10番MF吉村賢汰(3年)がピッチへ。主戦場とする南部支部1部リーグでは前期を終えて首位を走るチームで、総得点の20点のうち約半分のゴールを奪っているという今年のエースはこの日はゴールこそなかったものの、アシストで貢献。32分にはシザースからの得意のドリブル突破で抉り、増田のゴールを演出するなど2アシストした。
1回戦で10番MF小澤芥斗(3年)の4ゴールなどでいずみを下して勝ち上がった秩父農工科学は前半から守勢に回る時間が多く、その中でもFW今井優羽(2年)や後半もMF金室佳樹(3年)がカウンターから抜け出しを狙ったが、シュートまで結びつけることができなかった。
大宮東は今年、10年間指揮を執った二見元監督が上尾南に異動。森田克也監督体制として新たなスタートを切った。森田監督は「これからの大宮東が生まれ変わっていくんだというのと、もう一回みんなで『稲妻をもう一度全国へ』というスローガンでやっているんですけど、もう一回こいつらが全国を目指していこうっていうのをここでどのくらい表現できるかっていうので挑んだので、油断せずに前半に点を取って、余裕のある展開にできたのは良かった」と振り返った。
指揮官の熱に選手たちも呼応。吉村は「去年と比べて熱量が違う。自分が一番大事にしているのは監督で、自分たちのことを大事に思って、叱ってくれる時に叱ってくれて、ゴールを決めた時は一番に喜んでくれて、とても自分の中で大切な存在。点を決めて勝って恩返ししたい」と語る。
「自分たちは公立なので、私立に公立は勝てないみたいな風潮も若干あったりする中で、公立が(ベスト)8、4に入ってくると、また埼玉県のサッカーも面白くなってくると思う」(吉村)。代表決定戦の相手は新人戦の南部支部準々決勝で敗れた大宮北に。まずはそこでしっかりとリベンジを果たし、この冬は新指揮官のもと、躍進を目指す『青い稲妻』が県大会を盛り上げる。
石黒登(取材・文)
試合結果
大宮東 13-0 秩父農工科学
5(前半)0
8(後半)0