[高校女子]川口市立が南稜との公立対決を制し悲願の初タイトル! 「間違いなく3年生の力」3年計画が実を結ぶ

3年計画が結実し、川口市立が悲願の初優勝! 高校女子の令和6年度学校総合体育大会埼玉県大会は11日、浦和駒場スタジアムで決勝が行われ、川口市立が2-0で南稜を下し初の県制覇を果たした。川口市立は25日に開幕する令和6年度関東高校女子サッカー大会に出場する。

決勝の舞台でもやることはブレなかった。「全然焦る必要はないと。相手が何かやってきたら、その時点で自分たちの勝ちだよっていうのは先生からも言われていたので、全員で声を出して、何も変えることなく自分たちのサッカーをしようっていうことだけを意識しました」(小磯)

準決勝で前回覇者の花咲徳栄を下し、川口女子、川口総合時代を含め初となる決勝進出を果たした川口市立は前回同様、まずは相手の攻撃をしっかりと跳ね返しつつ、対角へのロングボールなどを使って前線で圧力を持ってプレー。そこで得たフリーキックやコーナーキックから迫った。

すると前半31分、DF小磯遥香(3年)主将の右コーナーキックからMF岡崎莉奈(2年)がヘディングで決めて試合を動かした。「コーナーからの得点は得意」と話す岡崎は「前回の新人戦で4-2で勝ったんですけど、2失点のうち1点に絡んでしまったので、今回はリベンジという感じで、自分の中では点を決めるっていうのを決めていた」と話す中で貴重な先制点を挙げた。

一方、3大会ぶり2度目の優勝を狙う南稜もすぐさま反撃。33分、ゴール前でファールを獲得すると、今大会好キック連発したMF池上優香(3年)の右足のコントロールショットがクロスバーを強襲。こぼれ球にMF松田涼(3年)が詰めたが、これはオフサイドの判定となった。

後半も先手を奪ったのは川口市立で10分、左コーナーキックを獲得するとキッカーの10番MF田中南帆(3年)は「自分で直接狙うっていうのもあったんですけど、仲間がしっかり押し込んでくれるって思ったので、入るところにしっかり自分が蹴れたらいいなと思って蹴りました」。まさに“触れば入る”という丁寧なコーナーキックから相手のオウンゴールを誘い、追加点とした。

川口市立は直後にもMF武井千優(3年)が前線で出足早くボールを奪い、田中が惜しいシュート。まずは1点を返したい南稜は16分、ゴール前で前を向いたFW高橋咲来夢(2年)が狙ったが、枠を捉えきることができない。後半はショートパスを繋ぎながら敵陣でプレーする時間を増やし、33分には途中出場のMF矢部実佐子(1年)のシュートが再びクロスバーを叩いた。

川口市立は終盤苦しい時間帯が続いたが、CB沖井彩華(2年)が試合を通じてボールにアタックし続け、CB星春那(2年)が声による指示と的確なカバーリングを徹底。「徳栄戦も含めてディフェンスラインみんなで一致した守備を取ることができて、前線からの守備もよくできたかなと思います」(星)。今大会は5試合34得点の攻撃陣に加え、すべての試合でクリーンシートで抑えたディフェンス陣がこの日も0で守り切り、悲願の初優勝。前身の川口総合時代から21年勤め上げ、今年で退く猪狩敏彦コーチの最後のインターハイで初タイトルをプレゼントした。

金沢学監督は「もう間違いなく3年生の力ですね」と話す。川口市立は2年前、当時1年生だった小磯や田中、武井も出場した選手権予選で4位となり、7年ぶりの関東秋季大会出場を決めた。

「この子たちがいる間に何か変えなきゃなっていう感じで。あの子たちが入ってくる時にはここから3年計画だからと。あの子たちが中3の時から、ここから3年計画で結果を出すからと言っていた」(監督)。小磯は「入った当初は私自身がどこを目標にしたらいいかわからなかった。でも選手権でベスト4を経験させてもらって、次の年からは停滞していたというのもあって、去年のインターハイはベスト16止まりでしたし、選手権も8止まりで思うような結果が出ていなかったんですけど、やっぱり練習試合とかでもどんどん強い相手とできたりして新人戦から勢いに乗れたので、このインターハイこそはっていう気持ちで、絶対に優勝を取りに行こうっていうのは話していました」と語る。小磯、田中、武井に加え、今大会は4人目の3年生として右SBの齋藤真優も台頭。この日も相手のキープレーヤーをしっかりと抑え、仕事をさせなかった。

「学校史上初めての決勝だったし、初めての優勝だったし、初めてのインターハイでの関東なので。常に自分たちは話しているんですけど、自分たちはチャレンジャー。チャレンジャーとして失うものはないと思っているので、苦しい戦いも多かったんですけど、埼玉の代表として絶対に悔いが残らない戦いをしたい」(小磯)「相手は置いておいて、自分たちがまずどこまでできるか。自分たちの一番良いプレーをして、関東でどこまで通用するかを知りたいなと思います」(田中)

初となる関東大会は1回戦で東京の強豪・十文字と対戦するが、今大会も常々そうだったようにチャレンジャーとしていまできる最大限で臨み、自分たちの現在地を知ることがひとつ大きなテーマ。そのうえでやれたこと、やれなかったことを成長に繋げ、この秋は埼玉2冠に臨む。

石黒登(取材・文)

試合結果

南稜 0-2 川口市立
0(前半)1
0(後半)1