武南は細田学園を下して4強入りも 一方で決してぶらせてはいけない「大事なこと」

令和5年度埼玉県高校サッカー新人大会2回戦(12日、昌平高会場ほか)。連覇を狙う武南は細田学園と対戦し、1-0で勝利した。2大会連続の決勝進出をかけ17日、浦和南と激突する。

勝利はしたものの、武南にとっては課題の残る内容となった。前半は取りどころを設定し、そこでうまく嵌め込みながら、相手陣地で多くの時間でボールを持ってアタック。警戒していた細田学園のロングボールに対してもGK清水拓都(2年)が高い位置を取って押さえ込んでいた。

立ち上がりにMF大熊來瑠(2年)が良い抜け出しを見せ、FW河西琥(2年)が両軍最多の5本のシュート。相手の堅守もあり、なかなかネットを揺らすことができなかったが35分、左サイドのMF長谷川渉(2年)のクロスからMF平野琉斗(1年)が左足で流し込んで先制した。

しかし、後半は徐々に冷静さを失っていく。細田学園は昨年から主力の守護神・米山巧馬(2年)やCB平井聖七(2年)が後ろで強さを見せながら最少失点で耐え、ディフェンスラインからのフィードや対角へのロングパスで相手を押し返す。そこに対し、武南は相手の圧力に耐えきれず、サイドバックが蹴り返す場面も。最終的に1-0で勝利したが、内野慎一郎監督は異を唱えた。

「武南独自のサッカーを作り続けているっていうのはこだわりがあること。プレミアとかに行くと、昌平とかもそこでは掻き出さなきゃいけない時も出てくる。でも、武南はまだそのレベルにはない。だからある程度、そこを浸透させるっていうのをここ3年くらいやってきた。それによって、もう次の世代にはやっぱり繋がってきて、そこで強化していきたいっていうのがある」

もちろん、上に行けばそういう場面が出てくることも重々承知した上で「スタイル」という名の伝統を確立していくこと。大熊は「なんでうまくいかなかったのか。これから話し合って、解決していかなきゃならない一番大事なことだと思います」というようにそれは「大事なこと」だ。

「その場で勝っても、次の年が弱いっていうのは絶対にやっちゃいけない。だからこそ、安定して勝たなきゃいけないですし、昌平へのチャレンジ権はずっと持ち続けなきゃいけない」(監督)

関東予選の第1シードをかけた準決勝は浦和南に決定。この日以上の圧力がかかることは必須だが、今大会ゲーム主将を務めるCB杉浦陸玖(2年)は「勝つことも大事なんですけど、自分たちの色を出しながら、なおかつ結果を出したい」とし、平野は「自分たちのパスサッカーでしっかり崩せるようにやっていきたい」というように、内容にもこだわりながら決勝進出を狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 1-0 細田学園
1(前半)0
0(後半)0