悔しい準優勝も、大宮U15はこの経験を繋げる 丹野監督「ここから選手たちがどう成長していくかすごく楽しみ」
高円宮杯 JFA 第35回全日本U-15サッカー選手権大会の決勝が12月27日に味の素フィールド西が丘で行われ、大宮アルディージャU15は鹿島アントラーズジュニアユースに2度のビハインドを追いつくも延長戦の末に3-2で敗れ、惜しくも初優勝とはならず、準優勝に終わった。
2012、13年に続き、決勝に臨んだ大宮U15だが、またしても栄冠には届かず。それでも丹野友輔監督は「非常に楽しかったかなと。自分たちの積み上げてきたものもしっかりと出せましたし、その中でちょっとだけ鹿島さんが上回ったというゲームだったかなと思います」と振り返った。
前半7分、オウンゴールで先制点を許したが、焦ることなく落ち着いて臨むと17分、MF髙橋祐輔(3年)の左CKからDF熊田佳斗(2年)が技ありのジャンプボレーで決めて同点とする。
中盤以降はU-15日本代表MF神田泰斗(3年)主将、同代表候補MF小林柚希(3年)を起点にボールを繋ぎながら、FW中島大翔(3年)が武器のスピードを生かして前線へ。丹野監督も「特に前半は自分たちが目指しているものは結構出せたところはあったと思います」と話す。
後半2分に再び失点しリードを許すと、大宮U15は11分、MF大平翔太(3年)に代えてMF石川匠(2年)を投入。するとその5分後だ。右サイドの小林が仕掛け、中島とのパス交換で侵入。パスを受けた石川が絶妙ターンで抜け出し、最後は右足の股抜きシュートで決めて追いつく。
勢いに乗ると、その後もサイドからチャンスを創出する。20分には石川の投入によりトップにポジションを移した10番FWエドワード真秀(3年)のクロスから中島が走り込むもわずかに届かず。38分には先制点の起点となった小林が壁パスからスピードに乗ったドリブルで侵入しようとしたところを倒されFKを獲得。小林が自ら蹴ったFKは惜しくも相手GKに阻まれた。
勝負の行方は延長戦へ突入。しかし延長前半7分、鹿島JYにコーナーキックのこぼれ球を決められ3失点目。これが決勝点となってしまった。前半、後半と触れば1点という展開も作り出していただけに丹野監督は「やはりその最後の質。そういうところで最後、しっかりボールをゴールに押し込むところ、そこは鹿島さんの方が少し上だったのかなと思います」。また、失点数にもこだわってきた中で決勝の舞台でセットプレー2発を含む3失点を喫したことを悔やんだ。
「出せた部分もありますし、もちろんもっと出来た部分もあると思うんですけど、僕は本当にこの日本一を目指すところに価値があると思っていて。ただこれが目的になってはいけなくて、こういう経験を積んで選手たちが今後どう成長していくかっていうことが僕は一番大事かなと。
日本一になれて、成長を感じられるのが一番だと思いますけども、でもこの経験を経て、選手たちがどう成長していくか、そこが一番大事だと思う。そういう意味では苦い思い出になってしまいましたけど、ここから選手たちがどう成長していくかがすごく楽しみだなと思います」(監督)
神田や小林など、高校年代でも1年目からプレミアリーグの試合に絡みそうな選手たちもおり、今後の成長は楽しみなところ。また、2年生ながら今季は関東リーグでも主力としてプレーし、今大会でも5試合すべてに出場した熊田は、昨年高校3年生ながらトップチームで活躍し、先日昇格&アジア杯のトレーニングパートナーにも選ばれたDF市原吏音に比較される逸材だ。
熊田は「多分来年はキャプテンを任されると思うので、しっかりキャプテンシーを持って、毎試合毎試合をこだわって、練習の強度も上げて、日本一の練習をすれば確実に日本一のチームになれると思うので、練習からしっかりといって、絶対に金メダルを取りにいきたい」と来年度のリベンジに意欲を燃やした。この経験を各々がどう成長に繋げていくか。今後が楽しみだ。
石黒登(取材・文)
試合結果
鹿島アントラーズジュニアユース 3(延長)2 大宮アルディージャU15
1(前半)1
1(後半)1
1(延前)0
0(延後)0