昌平が大会連覇で「日本一」目指す全国へ!敗戦を成長に繋げ、夏に敗れた浦和南にリベンジ

「第102回全国高校サッカー選手権大会 県大会」決勝が14日、埼玉スタジアムで行われ、前回覇者の昌平と浦和南が激突。昌平が2-0で勝利し、2年連続6度目の全国大会出場を決めた。

両雄は今季、総体予選準決勝でも激突し、昌平は2-2からのPK戦の末に苦杯を喫していた。

「インターハイに負けた後、夏にいろいろな大会や試合があった中で、もう一回みんなで目標を共有して、ひとつになれて成長できた。練習の中でも公式戦を意識してプレーするようになった」(佐怒賀大門/3年)。悔しい敗戦を成長に繋げた昌平が見事リベンジし、全国切符を掴んだ。

立ち上がりから押し込んだ昌平は前半5分、MF山口豪太(1年)の個の突破からのクロスにFW小田晄平(3年)が合わせていきなり決定機。その後もドリブルとショートパスを組み合わせながら小田の抜け出しや山口、MF西嶋大翔(3年)の両翼がサイドから鋭いアタックで迫った。

一方、同カードだった5年前の再現を狙う浦和南もコンパクトフィールドを形成しながら集中した守備。攻撃面では縦に速い攻撃を徹底し、10番のMF伊田朋樹(3年)のセットプレーなどでゴールを狙う。26分には右からのクロスをFW志田出帆(3年)がシュートまで繋げた。

昌平はゲーム中盤、相手ゴールに迫りきれない時間が続いていたが、28分についに試合を動かす。MF大谷湊斗(2年)からのパスを受けた右SBの田中瞭生(3年)はエリアに切り込むと鋭い切り返しから左足を一閃。シュートはディフェンスの足に当たってネットに吸い込まれた。

一方、失点した浦和南も前半0-1は「想定内」。セカンドを拾えなかった中盤に修正を加えながら後半もDF齋藤旺徳や主将のDF橋本優吾(ともに3年)らが粘り強く守って追加点は渡さない。また、9分からは技巧派MF日高大佑(2年)を投入し、攻撃面での活性化を図った。

それでも昌平は佐怒賀、DF坂本航大(2年)が固い守備を見せ、GK佐々木智太郎(2年)が相手のクロスやセットプレーに対して安定したパフォーマンスを披露し決定機は作らせなかった。すると32分、昌平は左SBの前田大樹(3年)からパスを預かった途中出場のMF三浦悠代(2年)がカットインから右足を振り抜いて奪い、勝利を大きく手繰り寄せる2点目を奪った。

終盤も相手の攻撃をしっかりシャットアップ。村松明人コーチも「固いゲームの中でもバックラインとゴールキーパーが崩れなかったというのは(勝因の)ひとつかなと思います」というように、今大会初の失点0に抑えた昌平が隙を与えず勝利し、2大会連続の全国大会出場を決めた。

今年からプレミアリーグに所属する昌平は今大会、初めて“スーパーシード”という形で準々決勝からの出場。初戦の細田学園戦は前半、FW鄭志錫(2年)のゴールで先制したが、後半追いつかれ延長戦にもつれ込む苦しい展開に。村松コーチも「正直終わるかと思いました」と明かす。

「ただ選手たちは本当に落ち着いていた。時間がないとなると、どうしてもどこかに固執する。ただ最後まで自分の判断で、点を取ったシーンみたいにサイドに振ってどこから攻めるかもひとつだし、中央突破もひとつだし、いろいろなことを最後までやり続けたっていうのがあの試合はすごく見られた。そういう意味では最後まで落ち着いてゲームできていたのかなと思います」

MF長璃喜(1年)の決勝弾で勝利すると、準決勝の武南戦はショートカウンターのスタイルから驚愕の7得点。この日はタイトな守備にも焦れずに攻め、夏は敗れた相手の堅守を攻略した。

全国は昨年、夏は4強で、冬は8強で敗退。今年は昨年を経験した選手も多く、MF長準喜(3年)は「日本一を取らないといけないチームだと思っている。いろいろな責任がありますし、今年。日本一になっていろいろな人に恩返ししたい気持ちが自分の中で本当に強い」と力を込める。そのためにもまずは残り3節となったプレミアリーグでさらに大きく成長し勝負の時に備える。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 2-0 浦和南
1(前半)0
1(後半)0