注目対決は昌平が3冠武南を撃破!ショートカウンターから脅威の“仕留め率”見せ7発快勝
注目の対決を制し、2年連続のファイナル進出――。「第102回全国高校サッカー選手権大会 県大会」準決勝が5日、NACK5スタジアム大宮で行われ、昌平と武南が激突。昌平がMF土谷飛雅(3年)のハットトリックなどで7-2と快勝した。昌平は14日の決勝で浦和南と対戦する。
今季の埼玉県高校サッカー界の中でも一番の関心事。プレミア昌平と3冠武南、どちらが強いのか。注目の一戦は両軍併せて9ゴールが生まれた乱打戦の末に昌平が7-2で勝利を収めた。
「やっぱり武南は力があるので、どういうゲームになってもおかしくない」。昌平・村松明人コーチはメンバー選考に頭を悩ませたという。実際に3日前までは「全然違った」という中で最終的に「相手を考えすぎず、自分たちの力を信じてやろうというところでメンバーが決まった」。
「ボールを握るよりはショートカウンターの形を意識させた」というこの試合では1トップに速さと抜け出しのうまさのある小田晄平(3年)を起用。また、レフティのMF山口豪太(1年)を右から左サイドに配置転換し、よりチャンスメイクを意識させるなど、役割を明確化させた。
昌平は前半15分、CB坂本航大(2年)の縦パスを起点にした攻撃でMF西嶋大翔(3年)がエリア前で仕掛けると、そのこぼれを小田が技ありの切り返しから左足で流し込んで先制した。
さらに21分、今大会腕章を巻くCB佐怒賀大門(3年)のフィードキックから西嶋がディフェンス2枚を交わしてゴール右隅に流し込むと、36分には小田のお膳立てからこの攻撃の起点となったMF大谷湊斗(2年)がゴールエリアに走り込んで沈めて前半だけで3得点を奪った。
後半も勢いは止まらず。6分には10月15日のプレミアリーグEAST第18節の市立船橋戦からトップ下のポジションに入る土谷が、小田との華麗なワンツーから抜け出し、右足で沈めた。
まずは一矢報いたい武南も12分、昌平下部組織のFC LAVIDA出身のFW戸上和貴(3年)からのパスをエリア内で受けた10番のMF松原史季(3年)が切り返しから相手ディフェンスに当たって浮いたボールをそのままダイレクトで叩き込んで3試合連続のゴールで1点を返したが、昌平は24分、ボールを奪ってからの速い攻撃で小田のラストパスから土谷がループシュートで流し込んで5点目。32分には長準喜がカットインしながら右足で流し込んでその差を広げた。
武南は37分、戸上が獲得したPKを松原が蹴り込んで意地を見せるが、昌平は40+1分、途中出場のMF鈴木宏幸(2年)が前線で奪い、ショートカウンターからラストパスを土谷が右足できっちりと決めてハットトリックを達成。7-2とした昌平が2年連続の決勝進出を決めた。
今季3冠の武南に対し、脅威の7発。村松コーチは「守備の距離感だったり、最低限チームとして求めていたことが前半はまだまだだったので、その辺は次に繋げること。ただ、点を取れたというのは自信に繋がりますし、前の選手は良いイメージができたと思う」と課題と収穫を語った。
一方、武南・内野慎一郎監督は「個の能力はやっぱりすごいなと感じましたし、戦略的にも最初に長いボールを入れられてラインを下げさせられて、それに自分たちも乗っかってしまった部分でディフェンスの間とかが空いてしまった」。それでも「悪い雰囲気はなかったですし、自分たちは自分たちのスタイルを貫き通そうと思った」。後半は6本のシュートと気を吐いた松原を含め、昌平の7本を上回る10本のシュートを記録。その中で「ショートカウンターからの仕留め率というのが全然違った。そこがすごく重要な点だったかな」と相手の決定率の高さを挙げた。
これで2年連続の選手権出場まであと1勝と迫った。長準喜は「去年の借りを返さないといけないですし、そのためにも全国に出ないといけない。このメンバーでやりたいですし、このメンバーでやれる最後の大会なので、いろいろな気持ちも背負って、穂高のためにも絶対に勝たないといけない」。昨年は夏4強、冬16強で終わった全国での借りを返すために、そして今大会怪我で出場できない中でもチームを支える主将のCB石川穂高(3年)のためにも絶対に負けられない。
石黒登(取材・文)
試合結果
武南 2-7 昌平
0(前半)3
2(後半)4