最後に地力見せた狭山ヶ丘が接戦を制す!伊奈学園は県リーグ勢連破とはならずも奮闘
「第102回全国高校サッカー選手権大会 埼玉県大会」は15日、2回戦を行った。S2Aリーグ所属で総体予選8強の狭山ヶ丘は伊奈学園と対戦。2-1で勝利し、3回戦進出を決めた。
勝利したものの、自慢のサイド攻撃に持ち込めず苦戦。狭山ヶ丘・西澤正仁監督は「伊奈学園さんが自分たちのストロングポイントを最大限生かしてきた。苦しかったですね」と胸中を語った。
支部予選から勝ち上がり、1回戦でS2Bの西武文理を下した伊奈学園は「とにかく引いたりせず、相手コートでプレスをかけて、できる限り相手コートでやること、奪ったら攻守の切り替えのところを速くすることを意識させた」(翠川潤監督)。序盤から引かずに俊足のFW川﨑悠真(3年)らが積極的にプレスをかけ、相手に相手のストロングであるサイドへの配球を限定した。
狭山ヶ丘は「選手権の初戦で緊張や焦りもあった」とMF山本悠太(3年)主将がいうようにそこを剥がせずに苦戦。左MF梅原翔和(3年)、右MF権田智紀(3年)の「両ワイドをダイナミックに使ってスピードアップしていく」(監督)展開に持ち込めずに苦しんだ部分もあった。
その中でも山本の正確なプレースキックから、25分には193cmの長身FW栗原拳飛(3年)が打点の高いヘッドでゴールに迫るなど、徐々にチャンスを作ると前半終了間際にゲームが動く。
40分、左SBの白井陽斗(3年)はエリア前でボールを持つと一気にスピードアップしてカットイン。「いつもサイドハーフと良い連携で崩すのは練習からやっていた」。一度、梅原にボールを預けると、外側を追い越す動きからリターンを受け、最後は右足でゴールネットに突き刺した。
一方、伊奈学園も先制を許したものの、前半はプレッシングがハマっていたこともあり、後半も積極的にチャレンジ。すると練習を重ねてきたセットプレーから6分、GK柏﨑海翔(3年)がゴール前に入れたフリーキックをCB飯田智生(3年)がすらして流し込み同点に追いついた。
勢いに乗る伊奈学園は左サイドのMF岡野凌汰(3年)がスピードに乗ったドリブルでゴールに迫る。これで一気に流れが傾くかと思われたが、それでも最後に狭山ヶ丘は地力の強さを発揮。コーナーキックからCB増子雄太(3年)がヘッドで迫り、梅原がポスト強襲のシュートを放っていくと30分、ゴール前の混戦を途中出場のMF房前颯真(3年)が左足で決めて勝ち越した。
伊奈学園は31分、右SB大野創士(3年)のクロスから10番MF野澤光(3年)がヘディングで迫るも、狭山ヶ丘はGK峠大希(3年)が攻守を見せてゴールを死守し、2-1で勝利した。
狭山ヶ丘は今大会前に快足を誇るFW田中大地ブライト(3年)が怪我でアウト。また、守護神の内山愛琉(3年)も大会直前の負傷で初戦は出場を見送るなど、難しい面もあるが、「固定という固定は山本くらい」というチームは交代出場した選手もクオリティーを出せるのも強み。決勝ゴールを決めた房前は「そういう競争率とかの面では去年とかより全然高いのかなと思う。途中出場でも結果を残していけばチャンスは来ると思うので、結果で証明したい」と意気込んだ。
次戦の埼玉栄戦には内山も復帰予定で、「次回はほぼベストのメンバーが揃うと思う」(監督)。
去年からのスタメンでMF貮百免稜也(3年)とともにチームの舵取りを任される山本は「去年はベスト8まで行って、やっぱり負けて悔しかった。今年は新しい記録を塗り替えられるように、まずは次勝ってベスト8まで行って、その先のベスト4、優勝と目指していきたい」と話した。
石黒登(取材・文)
試合結果
狭山ヶ丘 2-1 伊奈学園
1(前半)0
1(後半)1