インターハイ予選では初の16強進出 朝霞西は強豪トップと3試合戦ったことを財産に選手権でもうひとつ上の景色を目指す
第102回全国高校サッカー選手権埼玉県大会一次予選の2回戦が23日に行われ、ブロックAでは朝霞西とふじみ野が対戦。延長戦に及んだ戦いを制し、朝霞西が代表決定戦にコマを進めた。
朝霞西はCF石井陸(3年)に当てつつ、シャドーの檜山颯太(3年)、森一稀(3年)が空いたスペースにドライブ。「そこが使えなくなったらシンプルに裏に蹴って「相手のストレスになることを続けよう」というふうにミーティングだったりの時に話していたので、そこのイメージはずっと持っていました」という右WB村上碧(3年)主将の好キックからチャンスを作った。
すると7分だ。村上のキックから一度は相手に前に入られたものの、檜山は「ふじみ野の初戦の映像を見て、前から行けば取れるみたいな感じで言われていた。いつも前から行くプレーはしている。ああいうところで行った方が相手も嫌だし、こっち側としても空気を持って行ける」と諦めずに追ってボールをさらうと、ゴールキーパーも交わし、無人のゴールに流し込んで先制した。
一方、ふじみ野も失点後は粘り強く戦い、中盤以降は前に行く回数を増やしていく。後半はさらに縦への勢いを増して同点弾を奪いに。相手の堅守もあり、なかなかゴールに結びつけることができなかったが、終了間際の40分、主将のMF岡部爽太(3年)がフリーで抜け出し、ゴールキーパーの動きをしっかりと見極めて右足で決めて、土壇場で同点に追いつくことに成功した。
試合は延長戦へ。追いつかれた形の朝霞西だが、「相手が強いチームだというのは同じリーグでも戦っているのでわかっている。こういう流れになるのはプランとしてはあったので、そういう意味では慌てることなくゲームの流れを進めることができたのかなと思います」(吉田圭吾監督)。相手の勢いに呑まれずに進めると、延長後半4分、途中出場のFW大草充希(2年)がクリアボールにプレスをかけてカット。そのまま冷静にゴールネットに沈めて、これが決勝点となった。
決勝点の大草は延長前半7分からの出場だった中、限られた時間で結果。「点を決めようと思っていた。(シュートの瞬間は)「これを決めて勝ちたい!」と思って打った」言い、笑顔を見せた。
朝霞西は6月のインターハイ予選初戦で2カテゴリ上のS1リーグ所属の埼玉栄をPK戦の末に下す金星。続く三郷北も下すと、3回戦で埼玉平成に敗れたものの、関東予選準優勝のチームにも食らいつき延長戦に及ぶ戦いを演じた。チームは以前、西部支部2位で勝ち上がった新人戦で16強に入ったことがあるが、県大会を勝ち上がってのベスト16進出は初めてのことだった。
結果はもちろん、「ああいうSで戦っているチームだったり、常に県大会に出ているチームと3試合手を合わせたことはやっぱり大きい。あれがスタンダードにならなきゃいけない」と吉田監督は話す。普段Wリーグ(西部支部1部)でも私学とやる経験はあるが、半数はBチーム。トップトップとやった3試合は貴重な財産で、選手にとっても目線が上がるきっかけとなった。
選手権ではもうひとつ上の景色へ。主将の村上は「1年生の時から県ベスト8というのを目標に掲げている。インターハイでは16のところで負けてしまったので、選手権はもうひとつ勝って8に行きたい」と意気込み。そのためにも次戦代表決定戦を制し、まずは県大会出場を決める。
石黒登(取材・文)
試合結果
ふじみ野 1-2 朝霞西
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
0(延後)1