球際徹底、「裏の時間」で真骨頂 豊岡が久々だった昨年に続き、2年連続の県大会切符獲得!

インターハイ西部支部予選・代表決定戦。豊岡は2-0で東野を下し、県大会出場を決めた。

技術のある相手に対し、しっかりと自分たちのスタイルを体現して2年連続の県大会切符。豊岡・河津祐介監督は「球際のところを厳しくいこうというのがこのチームで求めていること。それが80分間通して出来た。うちがやりたいこと、求めていたことを選手たちがやってくれた。そういうゲームだったと思います」と試合を通じて球際でファイトし続けた選手たちを称えた。

「思ったよりも前進出来た」(監督)という前半。豊岡は奪ったボールをシンプルに配球しながら左WGの沖津陽斗(2年)や10番FW冨澤海翔(3年)が迫力を持ってゴールに迫る。そして前半27分、ゴール前でFKを獲得。MF田中悠斗(3年)主将が跨ぎ、MF松崎圭吾(3年)が右足を振り抜いたボールはディフレクションしながらゴールに吸い込まれ、豊岡が先制した。

一方、前半はあまり効果的な攻めが出来なかった東野も後半に入り、猛攻を仕掛ける。ボランチの檜垣皓(3年)が配球に、仕掛けに関わりながら、前線の10番FW滝口元葵(3年)、MF山田琉維(3年)主将が迫力。また、DF栗林駿(2年)のロングスローからゴールに迫っていく。

後半は差し込まれるシーンが増えた豊岡だが、「選手にも「表の時間と裏の時間がサッカーは絶対あるよ」というのは常に言っていて、いろいろな学校さんとやらせてもらってやっぱりうちは裏の時間がすごく長いチームなので、そういったいろいろなゲームの耐える時間というのがここに繋がったと思っています」。指揮官の言う「裏の時間」。ここでチームは真骨頂を発揮する。

それぞれが球際で戦いながら、東野戦に向けて密集のトレーニングをしてきたというチームはDF佐野瑛大(3年)、DF市川凛太朗(3年)、DF宮﨑敦也(2年)の後ろ3枚を中心に跳ね返し、冷静にボールを掻き出し続け、相手に攻め込まれながらもシュートまでは打たせなかった。

すると後ろの頑張りに前が応える。後半23分、田中悠が落としたボールを最後は冨澤が左足で流し込んで決めた。4月下旬に怪我から戻って来たばかりの10番は復帰後これが初ゴール。「なかなか試合でも点が取れていなくて、公式戦でしっかり取りたいなと思って、ずっと狙っていたので嬉しかったです」。苦しい時間帯を凌ぎ、エースの一発で豊岡が勝利を一気に手繰り寄せる。

終盤の猛攻に対しても全員が集中して守備。後半ATの関節FKのピンチも身体を張って守り切った。後半はこの1本に抑えたほか、全体を通じても3本の被弾に抑えるなど、堅守が光った。

冒頭の通り、「球際」の部分は豊岡の伝統だ。特にいまの大学1年生や今年の高3は体格がしっかりしている選手が多いといい、そこでイニシアチブを得るべく「相手チームよりも一歩先を取る」(監督)ことを意識。1対1や3対3ですぐに寄せたりして日々の練習からこだわっている。

昨年はインターハイ、選手権予選で県大会出場。県の舞台は豊岡にとって十数年ぶりのことだった。選手権予選は1回戦で進修館に勝利、続く2回戦で越谷西に死闘の末、PK戦で敗れたが、「Sリーグの相手にもしっかり良い戦いが出来た」(冨澤)と手ごたえも掴んだ一戦となった。

冨澤や田中悠など昨年を経験した選手も半数が残る今年の目標は昨年越えの『県ベスト16』だ。主将の田中悠は「気持ちがあるチーム。今年は去年の成績を絶対に超えてやるという気持ちでみんながやっている。絶対にみんなでベスト16、ベスト8まで行きたい」と力強く宣言した。

石黒登(取材・文)

試合結果

豊岡 2-0 東野
1(前半)0
1(後半)0