中川主将が1G2A、今平が2G… 個の強さ見せた南浦和中が2戦連発の5発で準決勝へ

25日、令和5年度学校総合体育大会県大会準々決勝が浦和駒場スタジアムほかで行われ、さいたま南浦和中とさいたま美園中の一戦は、南浦和が5-0で勝利を収め、ベスト4入りを決めた。

さいたま市勢対決となった一戦は、個の強さを見せた初優勝を目指す南浦和が5発と一蹴した。

前半はややバタつく展開となったが、その中でもセットプレーで点を取れるのは今年の強みだ。

FWの縦抜けからコーナーキックを獲得すると、キッカーの10番MF中川璃玖士(3年)は「キーパーがあまり大きくなかったので、そこでキーパーに向かってボールを蹴れば、(今平)啓太と矢野(天翔)が推進力だったり、ガンって行く力がある。そこは狙い通り」。フワッとした山なりのボールを入れていくと右CKから33分にDF今平啓太(3年)が、さらに34分には空中戦に絶対的な強さを持つMF矢野天翔(3年)がいずれもヘディングで決めて2-0とした。

後半は相手が前掛かりになって生まれたスペースをついてドリブルで前へ。さらに相手が落ちてきた中盤以降にさらにもう一段ギアを上げた。「去年も沼尻(爽汰/浦和南高)中心によく走りましたけど、今年のやつらも攣る選手はいませんし、変にへこたれるやつもなく、気持ち強く、この2年間かけて育ててきたので、こういうゲームでは大きいと思う」(神立朋次監督)。前線では2トップの大内隆之介(3年)、石田悠友(3年)が途切れることなくスプリントを繰り返す。

一方、2点を追う展開となった美園は、後半から3バックの一角としてスタートしたMF小林陽斗(3年)が前へ。23分には10番MF大前海斗(3年)が前線でボールをキープし、獲得したコーナーキックからの混戦をDF高原侑大(3年)が狙ったが、シュートはゴール上に逸れた。

すると南浦和は27分、中盤でボールを拾った今平が駆け上がり、左足を振り抜いてこの日2点目を決めた。昨年まではFWだったが、上での活躍も見据え、今年4月から小4以来だというCBに挑戦中だ。「センターバックだけど、ドリブルもできたり、ロングキック、ヘディング、対人の強さだったり、自分の武器だったりを出してちゃんとできたのは良かった」と話す。

28分には途中出場で左SBに入った鈴木照世(2年)が果敢に仕掛けシュート。これはキーパーに弾かれたが、こぼれ球を大内がきっちりネットに流し込んだ。終了間際の33分には中央でボールを持った中川がドリブルで運び出し、右足シュートを決めて圧巻のゴールショーを締めた。

中川はこの日1ゴール2アシストの活躍。「1本バーがあった。そういうところは悔しいです。決めるところを決めきれないと、接戦の試合とか苦しくなってきちゃうので、そういうところで決めきれるようになりたい」と語ったが、質の高いキックに、ゴールにと、存在感を放っていた。

ひとつ前の試合ではさいたま市のライバルで新人戦覇者の尾間木中が敗退。市予選のリベンジを誓っていたこともあり、少なからず動揺はあったというが、中川主将のもと「まずは自分たちの目の前の試合に集中してやろう!」としっかりと集中して臨み、この日も大量得点で勝った。

関東をかけた準決勝は尾間木を下した西武台新座中が相手。西武台新座はここまで3戦無失点で、3試合13発の南浦和とは鉾立対決となりそうだ。中川は「前半決められればそれはそれでいいんですけど、引いてくるんだったら前半は苦しくなっちゃうと思うので、その時はみんなで動いて相手を動かさせて、後半に一個ギアを上げて勝負をつける形でいけたらいいなと思います」とし、今平は「次は尾間木を倒した強い相手だけど、自分たちのチームの長所である走り負けない力を出して、次もたくさん点を取って勝ちたい」と意気込み。主戦場とする県2部リーグでもクラブチームを抑え、首位を快走する今大会の大本命は初優勝を目指し、次も大量点で勝つ。

石黒登(取材・文)

試合結果

さいたま南浦和 5-0 さいたま美園
2(前半)1
3(後半)0