川越東が延長後半ATの劇的ゴールで初の8強に進出! 国際学院は終盤に追いつくも涙

令和5年度全国高校総体・県予選3回戦が10日に行われ、川越東と国際学院が対戦。1-1で迎えた延長後半ATに劇的決勝ゴールを挙げた川越東が、大会初のベスト8進出を果たした。

川越東は2015年の関東予選でベスト8が一度あるが、総体予選では初の8強入り。山谷和紀コーチは「よく選手たちが戦ってくれた。気持ちが入って、「ベスト8に入るぞ!」という気持ちで、この強度の高いゲームを戦ってくれた」と100分にわたる激闘を制した選手たちを讃えた。

川越東は前半13分、ゴールキックから競ったボールがエリア前にこぼれると、守備の対応が一瞬緩慢になったところを見逃さず、「出足に自信がある」MF稲庭健仁(3年)が一気にギアを上げてさらい、最後はGKとの1対1を落ち着いて右足で浮かせながら流し込んで先制した。

試合を通じてボールを握られる時間は長かったが、「裏のカバーをしつつ、前に来た時に潰せるよう、身体の状態を良くしながら守備をしていました」という剣持正翔(3年)と久保田晴人(3年)のCBコンビが競り合いや空中戦の部分で強さ。また、国際学院の攻撃の出所として警戒していた左SB坂輪世成(2年)には主将の右SB 中山湧斗(3年)がしっかりと対応。そこが破られたとしても久保田がきっちりとカバーに入るなどして、相手にペースを握らせなかった。

粘り強く守りつつ、切り替えの早い攻撃から前半44分に攻撃の核である10番のMF永野昂(3年)がミドルシュートで、後半14分には抜け出しからMF小林空河(3年)が威力のあるシュートを見舞う。いずれも国際学院GK大塚悠太(3年)の攻守に阻まれたが、決定機を作った。

国際学院はボールを持って進めながらも、なかなか相手の守備を攻略することができずにいたが、終了間際の41分、セットプレーから主将のDF内田康哉(3年)が競って潰れ、こぼれ球を途中出場のDF大家颯太郎(3年)が蹴り込んで、土壇場で同点に追いつくことに成功する。

国際学院は延長前半1分、終盤からの出場ながらドリブルやシュートで存在感を放っていたMF松﨑隆弥(3年)がカットインから侵入を試みるが、最後の部分で剣持が足を出し、久保田や左SBの石沢流人(3年)がカバー、GK志水駿介(3年)ががっちりと捕球し追加点は許さない。

すると延長戦も後半ATを迎え、PK戦濃厚かと思われた12分に決勝点が生まれた。川越東は敵陣中央でFKを獲得すると、途中出場のMF山口琉唯(3年)が正確な右足を振り抜く。「ボールが入った瞬間にベンチが「あっ、もうこれは来たな」と」(山谷コーチ)という完璧な配球。これに飛び込んだのが守備でチームを牽引していた剣持だ。「キッカーが良いボールを蹴るのはわかっているので、ボールに突っ込んでやろうと思った」(剣持)。ボールに対してまっすぐに飛び込むと、最後はバックヘッド気味にすらして流し込んで歓喜の咆哮。これが決勝弾となった。

川越東は成徳深谷に続き、Sリーグ勢連破。剣持は「ベストゲームは更新できたと思う。攻められる時間が多い中でもみんなが身体を張って、誰もサボらずに頑張る。勝利に向かってみんながひとつに進んでいたところが大事だと思うので、そこがより出た試合かなと思います」と話した。

石黒登(取材・文)

試合結果

国際学院 1-2 川越東
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
0(延後)1