埼玉平成が難しい初戦を制す! 初の関東大会で大敗から学び、目線や目標が明確に

令和5年度全国高校総体・県予選3回戦が10日に行われ、関東予選準Vの埼玉平成と朝霞西が対戦。埼玉平成がMF三木響介(3年)のハットトリックで延長戦の末に3-1で勝利した。

埼玉平成は今大会の初戦であるとともに、関東大会後の“初戦”。「そういう意味でも難しかった」と三島伸也コーチは話す。10番のMF大久保夢牙(3年)を起点に崩そうと試みるが、敵陣深くに敷かれた最終ラインを攻略できず、前半はなかなかゴールに迫り切ることができなかった。

朝霞西は4-4の2ラインでしっかりとブロックを作り、埼玉平成のアタックの対抗。また、1人目が身体を当てた後の2人目の寄せも早く、時折見せる鋭いカウンターも脅威となっていた。

埼玉平成は後半、人を入れ替えながら、それに伴い1アンカーから2ボランチに変更すると18分、左SBの佐藤快(3年)のクロスに、前に出た三木がヘディングシュートで合わせ先制する。

しかし、今大会は1回戦でS1勢の埼玉栄を破るなどして、県大会で初めてラウンド16に進出した朝霞西もすぐに喰らいつく。失点から3分後の21分、右中間でFKを獲得すると、キッカーの10番DF村上碧(3年)主将が右足の正確なキックで直接ゴールに流し込んで同点とした。

勝ち越しゴールを狙う埼玉平成は25分、エリア内で収めた三木が反転から右足を振り抜くが、ここは朝霞西GK小杉駿輔(3年)が好守。その2分後にはFW牛久保優人(3年)の右CKにFW佐藤快琉(3年)がジャンピングボレーで合わせたが、シュートは惜しくも右に外れた。

試合は80分を越えて延長戦に突入した。それでも埼玉平成は延長前半6分、セットプレーの混戦を三木が決めて勝ち越しに成功すると、延長後半8分にも前でボールを奪った三木がGKとの1対1を制して3点目とし勝負を決めた。三木の活躍もあり、埼玉平成が難しい初戦を制した。

初の県準Vで掴み取った関東大会は2試合を経験。特に日大藤沢戦は結果としては0-6の大敗という形となったが、チームに単なる1試合以上の大きな経験値をもたらした試合となった。

「日大藤沢さんがいろいろな意味で、みんなが目指せる、スタイルだったり、チームだったり、雰囲気だったり、学ぶことが多かったチームだったので、本当にそこは関東大会に出た中で一番価値があった。0-6でしたけど、その結果よりも価値があった試合だった」(三島コーチ)

三木は「日大藤沢はうまさも強さも自分たちの上だった。やっぱり自分たちがあれになりたいなという気持ちはあります」と刺激を受けたという。また、「応援もすごかった。応援してくれる生徒たちもあれを経験しているので、今日は負けないぞみたいな、応援もレベルが上がったかなと」「本当にお手本じゃないですけど、目指していきたいチームとやれたというのは良かった」(三島コーチ)というように、いろいろな意味でチーム全体の目線が上がるきっかけとなった。

「あれに勝つのは、県でもやっぱり上位に入らないとなって。上位に入って、やっぱりプレッシャーのある中で、うまく自分たちのプレーをして、勝てるようにしたいです」(三木)。再び上のステージで挑戦するために。埼玉平成はひとつひとつ目の前の試合を勝ち上がりながら、上位の厳しいプレッシャーの中でも自分たちのサッカーを体現できるようにレベルアップしていく。

石黒登(取材・文)

試合結果

朝霞西 1-3 埼玉平成
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)1
0(延後)1