着実に力つける川口市立が古豪・浦和を下し、県大会へ! 目標はベスト8

令和5年度高校総体南部支部予選ブロック代表決定戦(6日、川口市立高ほか)。近年着実に力をつける川口市立と古豪・浦和の注目カードは3-1で川口市立が勝利し、県大会出場を決めた。

川口市立は新人戦でまさかの支部初戦敗退。試合を通じて多くのシュートを浴びせながらも、2度のPK失敗やエースの不在もあり、川口東に2-3で敗れ、涙を呑んだが、この日はしっかりとシュートをゴールネットに突き刺し、総体予選では5年ぶりとなる県大会切符を掴み取った。

序盤から右MF原田琉唯(2年)、左MF中嶋絆(3年)の攻撃力を生かしたサイドアタックやワンタッチパスを交えて襲い掛かる。その中で前半24分、敵陣右中間でFKを獲得すると、MF大森拓真(2年)の正確なキックから右SBの清水厳(2年)がヘディングで合わせて先制した。

さらに33分には追加点。DF中村琉海(2年)の左からのスローインを10番のFW長谷川達哉(3年)がエリア内できっちりと収め、的確にポストプレー。これを「新人戦の時はちょっと自分は点を決められなかったので、「ゴールをかっさらってやろう」という気持ちで、思い切り気持ちを込めて打った」というMF松田倖(2年)が右足のコントロールシュートで突き刺した。

幸先良く2-0で折り返した一方で「後半もある程度自分たちで繋いでいくというところだったが、どうしても相手がガーンと来るからクリアばかりになってしまった。そこを繋げればかなり違う展開になる。時間帯や点差とかそういうことによって戦い方もちょっと変えていく。そういうのはやっぱりまだまだ」と岩井厚裕監督もいうように相手に合わせてしまう部分もあった。

浦和は怪我明けの10番MF関川陽也(3年)をひとつポイントに縦に速いアタックから後半は相手を押し返す展開も。すると25分、相手ゴール前で獲得したFKの場面で素早いリスタートから間隙を突き、MF門陽平(3年)のアシストからMF信田遼馬(2年)が決めて1点を返す。

それでも川口市立は、新人戦は不在だった長谷川が試合を通じて攻守で圧巻のパフォーマンス。特に空中戦はほとんど負け知らずで味方の攻撃を引き出し続けた。ATにはゴール前に侵入したMF小俣蒼(2年)が倒されPKを獲得。これを長谷川が落ち着いて流し込み勝利を決定づけた。

前線の長谷川、中嶋がチームの中心。スタメンの半数を占める2年生も、1年次から出場していた松田や清水、好配球を見せる大森ら楽しみな選手も多い。また、1年生では新座第二中出身でU-15県トレセンにも選ばれていたCB阿部龍大が先発出場。「予測も良いし、冷静にボールを運んだり、そういうこともできる。非常に期待している選手のひとり」と指揮官も期待を寄せる。

県での躍進も十分に期待できるチーム。岩井監督は「なかなかまだそこまではちょっと時期尚早かなと思いますけど」としたうえで「でも目指すべきところはそこじゃなきゃいけない」と話す。

グランデ FC時代は関東リーグでもスタメン出場していた清水は人工芝の環境に加えて「強豪の私立とかに、公立で特待とかがない選手たちでどこまでできるのか」というところに魅力を感じて入学を決意。「格上との戦いになると思いますけど、そういうところでもしっかり自分たちの色を出してひとつずつ勝って上位に進出できるように。目標は県のベスト8」と力を込めた。

石黒登(取材・文)