DF小屋結世主将の頭2発含む8得点発進! 正智深谷は戻るべき場所へ戻るためにひとつずつ積み上げる

関東大会予選・1回戦(16日)。正智深谷は花咲徳栄を8-1と下し、快勝発進を切った。

戻るべき場所へ戻るためにひとつずつ前へー。立ち上がりから押し込んだ正智深谷は前半8分、MF佐藤瞭丞(3年)の仕掛けからのシュートが相手のオウンゴールを誘って先制。その後も24分にクロスからゴール前の混戦をFW菅野智稀(2年)が決めると、その3分後にはDF冨岡佑太(3年)の左CKをDF小屋結世(3年)主将がヘディングで叩き込んで3-0とした。

早々に大きなリードを奪うと、翌日の2回戦を見据えて10番のFW外立翼(3年)らを交代し、長身のFW伊比瞳弥(3年)らがピッチへ。ハーフタイムにはさらに2枚のカードを切っていく。迎えた後半4分には再び冨岡の左CKから伊比がヘディングで合わせてリードを広げた。

一方、花咲徳栄は開始直後にサイドネット強襲のシュートを放ったFW石井優斗(3年)、MF駒崎世凪(3年)が前線で起点となり、ボランチの西野蓮(3年)が配球しながら反撃の糸口を探していく。すると後半21分に敵陣中央右で石井がタメを作り、スルーパスに抜け出したMF鈴木心(3年)が倒されPKを獲得。これを鈴木自らしっかりと流し込み、1点を返す。

それでも正智深谷は三度冨岡のCKから後半24分、小屋が首を振りながらヘディングでゴールネットに突き刺してこの日2点目とし、大きくガッツポーズを決めた。その後も攻め手を緩めることなく、26分には完全に崩して最後はMF小川陽向(3年)がGKを外してゲット。28分にはクロスから伊比が頭で、31分にはオウンゴールという形で得点を重ねて8-1で勝利した。

快勝発進となったが、小島時和監督は「練習量も試合経験も少ないし、まだまだ行き当たりばったり」とし、「なぜそれが行われているのかというのをまだわかっていないから、こっちがイメージしたことが次に生まれない。そういうところの理解度や落ち着き、奪い取るんだけど、次というのがないからまた奪われてリアクションとか、いっぱい修正していかないと。今日いっぱい入ったから出来ているという、そこじゃない感じで見ている」と反省を口にした。

昨年の代からは小屋とMF大澤弘基(3年)、この日は出場がなかったMF初雁龍(3年)の3人を残し大きくチームが様変わりした。「スーパースターはあまりいない。去年と同様みんなで頑張っていくチーム」と指揮官。その中でも少ない出場時間の中でもサッカーセンスの一端を見せた外立、1年時からスタメンを張り、今年はキャプテンマークを巻く小屋はディフェンスに、セットプレー時の得点力に、そして精神的主柱としてチームを引っ張っていく存在だ。

昨年は夏の全国を経験したが、冬は3回戦でまさかの早期敗退。「あの終わった後の1ヶ月はほんとうにきつかったですね」(監督)。今年はそこを乗り越えてリスタートの1年となる。

「ああいう悔しいことを経験して、やっぱり最後の選手権でともかく(全国に)出るぞ、という意識は当然のことながら持ってくれている。その準備としてこの関東も、リーグ戦も、インターハイ予選も、そういった部分で一気に行くと思うので、大事にやっていってもらいたい」

最終目標である選手権で昨年の借りを返し、2016年以来となる冬の全国に到達するために。ひとつずつ勝ち上がりながら、成長を重ねながら、戻るべき場所へ戻るための1年が始まった。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 8-1 花咲徳栄
3(前半)0
5(後半)1